12.。.:*♡ てあらい
文字数 2,082文字
南総里見八犬伝についてひとしきり話し合った後、四人は8つの石ころを手に取り意味について考えた。
しかし、特に良い案が浮かばぬまま時間ばかりが過ぎていく。
やがて、昼食の鐘の音が鳴った。
一瞬にして四人の前にお弁当が姿を現し、イシュタルとアーネトルネとシールックは手洗いをしてからお弁当を手に取った。
スクナヒコナは三人を不思議そうに見ながら、そのままお弁当の蓋を開ける。
スクナヒコナの後ろ姿を見送り、三人はお弁当を食べ始める。
他愛ない事を話し合いながら、箸を進めていく。
食べ終わった頃にファクトリー内を覗き込むと、誰もいない工場でシェルが一人で業務に勤しんでいた。
シェルが立ち上がるのを見届けてから、イシュタルはシェルの姿に変身すると縫製作業を始めた。
アーネトルネは、小さくなってイシュタルのそばへと向かう。
アーネトルネは適当に女工員に変身すると、隣の席に座って縫製作業を始めた。
シールックはそのまま彼らのそばへと向かう。
シールックはそっと工場を後にした。
ファクトリーを探し回り、シェルをやっと見つけた頃には既に昼の時間はあと僅か程しか残っていなかった。
お弁当を食べるシェルのそばに、そっと座り込む。
やがて昼休みの終わりの鐘が鳴るが、シェルは気にせずにお弁当を食べていた。
イシュタルが代理で業務に就いていることで、安心感を得ているようであった。
その頃、工場ではタールルが業務に就いているシェルの姿をしたイシュタルを見て金切り声を上げた。
不可解な事を叫ぶタールルを、イシュタルは透き通った赤い瞳でじっと見つめた。