22)電子マネーと仮想通貨と預金通貨の違い

文字数 2,208文字

(じいちゃん)

 今日は電子マネーと仮想通貨と預金通貨の違いを話そうと思う。ねこは電子マネーや仮想通貨を知っておるかな?

(ねこ)

 知ってるにゃ。電子マネーはスイカとかペイペイとかだにゃ。それと、仮想通貨はビットコインだにゃ。どっちもおカネとして使えるにゃ。

(じいちゃん)

 では、電子マネーとビットコインの違いは何じゃ?

(ねこ)

 う~ん。どっちもおカネとして使える点では同じだにゃ。電子マネーはチャージして使うけど、ビットコインは取引所で買って使うにゃ。100円の電子マネーは100円だけど、ビットコインは価格が変動しているにゃ。・・・なんでそうなるのかにゃ。

(じいちゃん)

 それは、どちらも電子的に取引に使えるおカネという意味では同じじゃが、起源がまったく異なるからじゃ。電子マネーは預り金で、法律的には商品券と同じにゃ。一方、仮想通貨はモノと同じなんじゃよ。だから暗号資産などとも言う。

(ねこ)

 へええ、電子マネーと仮想通貨はまったく別なのかにゃ。

(じいちゃん)

 そうじゃ。電子マネーは預り金なのじゃ。100円の電子マネーは100円を支払って手に入れる。仮にねこが1000円を払って1000円の電子マネーを買ったとしよう。この時、電子マネーの運営会社は、ねこが支払ったおカネを「預り金」として預かる。そして、ねこがコンビニでキャットフードを100円の電子マネーで買うと、運営会社はねこから預かっている預り金の中から100円をコンビニに支払う。

 このように、電子マネーはおカネの預かり証書のようなものなのじゃよ。

(ねこ)

 へえ、おカネの預り証書なら、銀行の預金に似ているにゃ。

(じいちゃん)

 そのとおりじゃな。だからと言って、運営会社が電子マネーを銀行預金と同じように、自由に発行して誰かに貸し出してはいけない。そんなことしたら、警察が飛んできて逮捕され、監獄にぶち込まれる。銀行とおなじことは、銀行として許可された業者でなければ、やってはいけないのじゃ。

(ねこ)

 なるほど。電子マネーは預り金という点では預金に似ているけど、あくまで預り金なので、おカネを預からずに電子マネーを勝手に発行して誰かに貸し出したら違法になる。一方、銀行の預金はおカネを預からなくても発行できる。預金と電子マネーは、そこが大きく違うんだにゃ。

(じいちゃん)

 一方、ビットコインのような仮想通貨は、どれだけ勝手に発行しても違法にならない。

(ねこ)

 なんじゃそりゃ~。なんで勝手に発行しても違法にならないのかにゃ。

(じいちゃん)

 それは、仮想通貨があくまでも「モノ」だからじゃ。モノを作っても違法にはならない。では、モノがおカネになるのか?江戸時代は、大判小判だけじゃなく、コメがおカネの代わりになっていたんじゃ。コメで支払いすることができた。では、コメを作ったら違法なのかといえば、違法なワケがない。

 コメを作って、コメをおカネとして使うことは自由なんじゃ。じゃから、仮想通貨を勝手に作って、これをおカネとして使うことも自由なんじゃ。

(ねこ)
 う~ん。コメとおカネじゃあ、同じようには思えないにゃ。

(じいちゃん)

 そうじゃな、なかなかピント来ないじゃろう。そうじゃな、仮想通貨は、極端に言えば「おもちゃのおカネ」と同じなんじゃ。たとえば、ねこが印刷機を使って猫の顔がデザインされたねこ紙幣を印刷したとする。本質的に仮想通貨はこれと同じなんじゃよ。じゃから、仮想通貨を勝手に発行したからと言って違法とは言えない。

(ねこ)

 でも、そんなのおカネとして通用しないにゃ。

(じいちゃん)

 そうじゃよ。じゃが、おカネとして認めるかどうかは、世の中の大多数の人が決めるのじゃ。みんなが、ねこ紙幣をおカネと認めて、ねこ紙幣で取引を行うようになると、ねこ紙幣はおカネになる。そもそもおカネは国家ができるよりも前から存在していたと考えられておる。つまり、最初のおカネは、ねこ紙幣のようなものだったとも言える。

 ビットコインが発行されても、最初は誰も相手にしなかった。単なる電子取引上のおカネだったし、そんなビットコインを代価として受け取っても役に立たないからじゃ。しかしビットコインの仕組みが世界中に知れ渡るにつれて、その取引の仕組みが非常に画期的であることが評価され、大勢の人から「これは将来の通貨の一角を担うかも知れない」と思われるようになった。

 そのため、多くの人がビットコインを買い求めるようになった。そしてビットコインはおカネになった。そして今でもビットコインは自動的に発行されているが、それは違法でもなんでもない。ビットコインはモノであり、モノを作ってそれを取引の道具として利用しているに過ぎないからだ。

(ねこ)

 じゃあ、もし仮想通貨をばんばん発行して、そのおかげで誰かが大きな損失を被ったりしても、いいのかにゃ。

(じいちゃん)

 それは別の問題じゃ。儲かるはずもないのに、儲かると言って仮想通貨を発行して売りつけたり、仮想通貨のシステムに投資させたりすれば、詐欺になる。仮想通貨を自由に発行することは違法ではないが、それを犯罪まがいのことに利用すれば、違法になるんじゃ。

 というわけで、電子マネーは運営会社がおカネを預かった預り金であり、仮想通貨はモノ(電子的暗号)がおカネとして利用されたものであり、銀行預金は民間銀行が発行したおカネ、なんじゃよ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み