13)おカネを増やすと経済成長するのか

文字数 1,540文字

(じいちゃん)

 世の中のおカネを増やすと経済成長するかについて、考えてみよう。世の中のおカネを増やすと言っても、やり方はいくつもある。

 一つは、金融緩和政策のように、日銀が民間銀行の貸出金利に影響を与えて金利を下げ、個人や企業が借金を増やしやすい環境を作り出す方法じゃ。そうすれば、個人や企業が借金を増やすことで、世の中のおカネの量が増える。

 あるいは、政府が国債を発行し、政府の借金としておカネを調達し、それでインフラを整備したり防衛力を強化する方法じゃ。この場合は、事業費として民間企業へおカネが支払われることで、世の中のおカネが増える。

 または、政府が国債を発行して借金して、それを社会福祉や医療介護、あるいは給付金として国民に配ることでも、世の中のおカネを増やすことができるのじゃ。

 他にも方法はあるのじゃが、それぞれ、どのルートを通じて世の中におカネを流すかの違いによって、その波及効果も異なる。現代の金融システムでは、誰かが借金をしなければおカネは増えないので、いずれの場合も、誰かが借金をすることに代わりはないがの。

 しかし、ここでそれぞれの方法を個別に考え始めると話が終わらなくなってしまう。じゃから、一般的な話として「世の中のおカネが増えると経済はどうなるか」について考えてみよう。

(ねこ)

 前置きが長いにゃ。じいちゃんは話が長いにゃ。

(じいちゃん)

 ほっとけ。まず、誰もが知っておるように、現代経済は貨幣経済じゃ。貨幣経済はおカネを使って商品を互いに交換することで成り立っておる。じゃから、生産活動が活発になり、交換される商品の量が増えれば増えるほど、交換に利用されるおカネの量は増えることになる。

 逆に、もし世の中のおカネの量が少なければ、交換活動に支障をきたすようになる。じゃから、おカネの量を増やすことは大切なんじゃ。

(ねこ)

 確かにおカネの量を増やさないと、経済は大きくなれないんだにゃ。でも、おカネの量を増やしたからと言って、経済が大きくなるとは限らないんじゃないかにゃ。

(じいちゃん)

 それはそうじゃ。じゃが、おカネを増やすことが、経済活動を刺激することは確かじゃ。一般的に言って、世の中のおカネの量が増えると、個人も企業も、保有するおカネの量が増えると考えられる。すると、個人は消費を増やし、企業は投資を増やそうとする。それは経済成長につながるのじゃ。

 例えば、個人の持つおカネの量が増えると、個人は消費を増やす可能性が高い。消費が増えると一般に景気が良くなると言われる。商品がどんどん売れると、企業の売上が増える。企業は「より多くの商品を売って儲けたい」と考えるものなので、売上が増えておカネがより多く手に入るようになると、そのおカネで投資をするようになる。

 投資することで機械を導入したり、新商品の開発を行うことで、より高品質な商品を、より多く生産できるようになる。また、企業の儲けが増えれば、従業員の賃金を増やそうとする。賃金の増えた人々は、消費を増やすようになる。このようにして、経済の規模がどんどん大きくなるのじゃ。

 従って、世の中のおカネを増やせば、経済活動を刺激することは間違いない。じゃが、どの程度の効果があるかは、おカネの増やし方や、経済状況など、様々な要因によって違いが生じることはあるじゃろう。

(ねこ)

 なるほどにゃ。世の中のおカネを増やしたからと言って、ウソのように日本経済が復活するわけではない。でも、少なくとも、復活に向かって成長する方向に乗ることはできるにゃ。成長するための下地ができるというわけにゃ。逆に言えば、おカネを増やさなければ、日本経済の成長に悪影響の出る恐れがあるんだにゃ。

(じいちゃん)

 その通りじゃ。

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