6)現代は、誰かが必ず借金を負わねばならない社会である

文字数 797文字

(じいちゃん)

 現代は、誰かが必ず借金を負わねばならない社会である、という話をしよう。

(ねこ)

 えー、今の世の中は、誰かが必ず借金を負わなきゃならないなんて、ひどい話だにゃ。そんなことあるのかにゃ。

(じいちゃん)

 いやいや、これまでの話を思い出せば、わかるはずじゃろう。そうしなければ、世の中のおカネが消えてしまうのじゃ。

 まず、大本のおカネである現金(日本銀行券および日銀当座預金)は、政府が国債を発行する(政府が借金する)ことで作り出されている。それが管理通貨制度じゃな。

 そして、民間銀行が現金を利用することで預金を発行し、それを企業や個人に貸し出すことで世の中におカネが供給されている。つまり、銀行の預金もまた、企業や個人の借金じゃ。それが準備預金制度じゃな。

 つまり、すべてのおカネは借金によって作り出されておる。ということは、誰かが借金をしなければ、世の中におカネは存在しないことになる。

 ということは、誰かが必ず借金をしなければ、世の中のおカネがすべてなくなってしまうのじゃよ。そうなれば、経済が成り立たなくなる。これは当たり前の理屈じゃな。

(ねこ)

 なるほど、きちんと順を追って考えれば、そういう結論になるにゃ。だから、世の中から借金をすべて無くすことはできない。政府の借金もすべて無くすことは出来ない。借金をすべて返済したら、おカネが消えて、経済が崩壊してしまうのですにゃ。

(じいちゃん)

 そういうことじゃ。これは非常に重要な「事実」じゃ。経済を考える際に、これをきちんと理解しているのか、それとも「借金はすべて返したほうがいい」と頭から信じ込んでいるのか。これによって、大きな違いが生まれる。

 まずは、すべての国民が「現代は、誰かが必ず借金を負わねばならない社会である」という事実を理解することが重要なんじゃ。そして、その借金を誰が負うべきなのかを、考える必要があるのじゃ。
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