#2 緘黙をテーマに

文字数 1,004文字

 緘黙をテーマに何か作りたいと常々考えていますが、何度か挑戦して毎回むずかしさに挫折してます。

 フィクションだと物語にリアリティが生まれないし、ノンフィクションだと展開が生まれないし、エッセイを書けるだけのウィットな内容でもないし……。

 緘黙って、基本何も起こらないんですよ。イベントに参加しないし、人物が自発的に動かないし。それを無視して展開すると、全然リアルにならないんです。
 たとえば、可愛い幼馴染みや美少女が登場して“緘黙を治すために頑張ろう”なんて物語はリアルじゃない。
 そもそも私自身がそんな出会いもないし、緘黙も治ってないんだから、緘黙のリアルが伝わらなきゃ意味がないんです。

 でも、ノンフィクションにしても同様で、リアルが面白くないから読み手を魅了するものにはなりません。なんのハッピーエンドもバッドエンドもなく、一区切りもない人生をどう作品にするというのか。

 エッセイが一番やりやすそうな気がするけど、基本、喋らない、動かないによる困り事や愚痴くらいで、そんなにバリエーションがありません。
 それに、状況や心情が個人的すぎて共感を得にくい、伝わりにくいという事がたくさんあります。

 それでも伝えたいのです。想像できますか。
 人間関係ゼロ、母親としかほぼ会話をせず。
 周囲からは誤解や叱責、嫌がらせ、それに一切反論できず我慢。
 失敗や悪目立ちしても言い訳一つできない。
 誰にも理解してもらえず、尊敬する人もおらず、人生で感謝してる人もいない。
 自分の意思は誰にも打ち明けられず、周囲が決めたことに従い流されるだけ。全部一人で受け止め、全部一人で考え、全部一人で対処するしかない。
 これを約二十年です。

 他の人が当たり前に持ってるものを私は持っていない。他の人とは歩んできた人生が違う。
 でも、だからこそ、他の人が歩めなかった人生、他の人が得られなかったことを得てきたのではないか。
 これを伝えることは、存在証明であり、責務なのではないか。――と、私は思うのです。

 だから、他の創作は趣味ですが、緘黙に関しては私の人生にかけて何か作らなければならない、と勝手に思ってます。
 でも、何度挑戦しても上手くいかないんですよね。緘黙って人生に支障きたしまくりの癖に地味なんですよ。

 そこで、このやり場のない想いを、この『緘黙雑記』として書き始めました。もしかしたら、すぐ書くこと無くなるかもしれません。
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