#8 自分語り(実家暮らし編)

文字数 1,016文字

 実家に戻ってきて始めの頃は、親に“これからどうするのか決めろ”とせっつかれていましたが、そのうち言われなくなりました。

 ただ弊害として、親の目を気にして何もできないということがあります。私の場合、家族の前でも自然体でいられないので、だいぶ窮屈な生活をしています。

 一方で、心療内科に通い始めたり、保健師に相談したりと、これまでになかった緘黙への直接的なアプローチが始まりました。ようやく転機が訪れたと期待もしましたが、現状なにも良い結果には繋がっていません。

 自分で自分を助けることはできない、かといって誰も私を助けてくれない。自室で過ごすだけの日々の中で、唯一希望がありそうなのがネットでした。ネットなら緘黙は関係ないです。
 しかし、私はパソコンやネットがあまり得意ではなく、ネット上でもコミュニケーションが苦手です。
 ネットで何か始めてみるか、でも昔ネットを使ってた頃の経験で自分には不向きだと分かっているし、……という葛藤を長年抱いていました。
 そんなおりに、とくにきっかけがあったわけでもなく、ふと思い立って約十年ぶりにネットを使い始めました。

 まずはSNSで真っ先に思い浮かんだXを始めてみました。これまで自分以外の緘黙の人に会ったことがなく、緘黙に関する本も少ない中、同じ緘黙の当事者の投稿がたくさんあって、自分以外にも同じ思いの人がこんなにいるんだなと、少し複雑な思いになりました。
 しかし、自分の言いたいことを一四〇字では書ききれず、古い投稿も流れて読み返しにくくなります。毎回この文字数で何を書けるか、誤解なく伝わるかと悩んでいます。

 もう一つ始めたのは、小説投稿サイトです。趣味としての作品投稿をメインで考えていましたが、Xで書ききれない思いをこちらならたくさん書けそうだなと、投稿内容を考えています。

 現状、今の生活にこれ以上の変化はなさそうです。最悪、親が死ぬまでこのままかもしれません。そうなったら自分が生きていけるか分かりません。そうなる前に、何か良いことが起こってほしい、あるいは自分が何かしないといけない、という焦燥感を常に抱いています。

 自分語りはとりあえずここで一区切りです。緘黙の人は現実で自分のことを語る機会が少ないので、一例として参考にしてもらえたら幸いです。
 ただこれはあくまでも“私の場合”です。緘黙の境遇は個人差が大きいものだと思うので、その前提を忘れずに緘黙を考えていきたいです。
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