第5話 ある偶然

文字数 874文字

 午前6時。蝉が鳴き始めました。朝は合唱が多いですよね。なんでかなぁ。昼間に比べ涼しい筈なのに、蝉の合唱が始まると一気に暑さが増す気がします。

 先日久しぶりに、ディスカウントスーパーへ行った。常備している炭酸水を箱買いするためだ。500mlで一本58円(税別)。私の中では底値。カンカン照り午後、車のエアコンをガンガンに効かせて10分ほど先の店へ直行。広い駐車場は休日ということもあって、店の入口から遠い場所しか空いていない。仕方なく、いつもは止めない場所へ。車から出ると刺すような暑さ。ドアはホットプレートのように熱く、下手したら火傷ものだ。

 入口で手を消毒。私はいつも少し多めに消毒液を取って、カートの持ち手にも塗るように付ける。まずは飲み物コーナーへ。広告の品とあって目立つ場所に積まれていた。そぉ〜っとスライドさせながら、一気にカートへ。もたもたしてたら、ただただ重いだけだ。一箱はカートのカゴに載せ、もう一箱をカゴ下へ。この下へ載せるときが厄介。気をつけないと腰をやられる。収まりが悪く二度ほど直した。「ふぅ〜」たったこれだけの作業でも、大きな息を吐く私。体力無いな……

 ひと息ついて、他を見る。この店は半分が食品、もう半分が雑貨と衣料品で全てが同じフロア。レジは集中レジと点在したレジがある。カートで運んでいるとはいえ、二箱の水を店の隅々に動かす体力もなく、目に付いた常備品を数点買って店を出た。

 外は相変わらず暑い。車に積み込み、いざ発進しようかと思った矢先、左から小さな子を歩かせてくる親子が見えたので、通り過ぎるのを……「えっ??」私の姪だった。近いうちに引っ越してくるとは聞いていたが、もう来たの?声を掛け、驚かれた。引っ越し先の様子を見に来ただけとのこと。それにしても、滅多に来ない店、滅多に止めない駐車場の位置。私の買物時間がもう少しズレていたら叶わない再会。こんな偶然もあるんだ。

 買物だけなら、普通の日。会うとわかっていたら、当たり前。でも、なんの前触れもなくできた今日の接点は、私の心に残るエピソードになると思います。
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