第40話 影響

文字数 828文字

 アボカドディップに入れるマヨネーズが、あと2センチくらいしかありませんでした。あなたなら、僅かに残ったマヨネーズをどこまで使いますか?

 マヨネーズ、ケチャップ、わさびに生姜……いずれもチューブに入ったお馴染みの調味料。私は、蓋に近い部分を潰し、スクリュー部分が潰れて回せなくなるところまで使う。もちろん本体はしごいた上でのことだ。では、歯磨き粉は?私は、本体を切る。その後数日歯ブラシで擦り取る。この行為をセコイと感じるか、気持ちいいと感じるかは、あなた次第。

 いつのときからか、私は最後の最後まで使い切ることに、達成感を覚えるようになった。もったいない精神もあるが、それとは少し違う。残すことへの違和感。間違いなく夫からの影響だ。結婚してまだ数年の30代くらいまで、私はズボラでガサツだった。と言うより、物は使うことさえできればオールOK。使う瞬間さえ適量あれば他は考えない人だった。

 夫は、何かにつけ几帳面。結婚して最初に夫から受けた無言の圧力、いや、習慣はご飯の食べ方。食べ終えた茶碗の中には、米粒ひとつ、汁一滴(少し盛った)も無い、まるで修行僧のような食後。だから、洗うのは凄く楽だ。コレに気付かされた私は、自分の茶碗を見て恥じた。海外には料理を残す文化もあるが、ここは日本。綺麗に食べた方がいいに決まっている。

 こうして私は、物を使うときに

という概念を持つようになった。かなり大人になってからの気づきだが、コレが今の使い切りに繋がっている。そして、物を買う前のブレーキにもなっている。実家の母は「このくらい、買えばいいじゃない。ホント、買わなくなっちゃって」と娘の経済観念の変わりように驚く。「ケチッて買わないわけじゃないの。今はまだ要らないだけ」と私。客観的に見ても私は自分が変わったように思う。

 購入品でいまひとつブレーキの効きが悪い物があります。バーゲンの洋服。ときどき安物買いの銭失いと思うような品物を掴むことが。まだまだです。



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