第42話 画面のこっち側

文字数 848文字

 最近の私は世間の流れに沿って、テレビよりもYouTubeを見ていることが多いです。それでも、毎日観ているのは、午後7時のNHKニュースと韓国ドラマ。この2本がお気に入り。

 NHKのニュースは、ちょうど晩御飯の時間。1日の出来事が30分で効率よく観られる。それに声のトーンが落ち着く。もう1つの韓流ドラマは、ホームドラマ。幼くして母に棄てられた主人公とその母親を中心に話が進む。今、中盤辺りだと思う。

 ドラマは、登場人物の設定が、最初の印象から少しずつ変化している。意地悪だった人が、本当は違うんだよ的な展開を見せようとしている。問題提起で伏線から本線に突入という感じか。このあたりに来ると話の予測がつく。韓流ドラマに欠かせない「因果応報」もきっと出て来るだろう。この視聴者の期待を裏切らない展開が韓流ドラマだ。日本なら水戸黄門に近いかもしれない。

 もう、数年前のことになるが、チャン・グンソクが人気を集めていたころ、私も彼のコテコテなイケメンぶりが好きだった。友人と3人で韓国へ行ったとき、私は時間があればチャン・グンソクの事務を訪ねてみたい思っていた。ソウルの街中でアイスを頬張りながら友人に提案すると、韓国語を習っている1人が、私が調べた地図を見て「行けそう」だと言った。そしてタクシーに乗り込んだところまでは、良かった……

 行きたい地区を告げ、タクシーは動き出した。さてさて『地図を見せて説明しましょ』と渡すつもりの地図がない。バックの中をかき回したが、ない。アイスの場所に置いてきたに違いない。それでどうしたか。友人は気丈にも「たぶん大丈夫」と言った。僅かな時間の説明だけで覚えていてくれたのだ。異国の地であるのに。「天才だ」陳腐な言い方だが、そう言って褒めた。さすがに事務所の前でタクシーを降りることはできなかったが、無事にたどり着いて、建物の前で記念撮影。チャン・グンソクには会えなかったが、とても満足できた旅だった。

 友人の記憶力と度胸に、感謝しても仕切れないほどの出来事でした。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み