第12話 面影

文字数 910文字

 先日、久しぶりの友人に会いました。頻繁に会っていた40代の頃は、お近づきになってもいいのかしらと思うような人。スポーツ万能、学歴もあって、都会育ち。おまけに美人。強いて欠点を言うなら、身長が少し低いかな程度。

 もちろん、お喋りすれば以前と変わらない口調になるのだが、なんかしっくりこない。しっくりこないのは、会った時に実は気付いていた。見た目が変わったのだ。友人は、私よりも3つくらい上。ほぼ同じと言っていい歳だ。私も私が思うように見られているのだろうか?

 高校生くらいの頃、母と一緒に外出した時に母の知り合いに遭遇した。二言三言会話して別れた後、母が「あの人、昔はすごい美人で有名だったの」と私に言った。私は「そうなの?」と(いぶか)しげ。当時の私にはどう見ても、普通のお婆さん。(自分を顧みず失礼を承知で敢えて書く)
いつからお婆さん顔になったんだろう。今になっても、素朴な疑問がムクムクと湧く。

 数日前の新聞に、吉永小百合さんが載っていた。「変わらん、前からずっと変わらん」西暦が記載されていた。70歳をとうに越えていらっしゃる。どう見てもお婆ちゃんじゃなく、おばちゃん。写真でこんなに若く見えるなら、実物はもっと凄いに違いない。世間では立派にお婆ちゃんと言われる歳ではあるが、吉永さんは、いつお婆ちゃん顔になるのだろうか?同様のケースで大地真央さんの変化も、興味津々。

 では、私はどうか?過去の写真を振り返ると共に、自覚も含めて考察。自分なりにイケてるピークは、26〜30歳。ここを起点として、30〜40代半ばまでは徐々に母親顔になり、驚くほどの変化無し。アラフィフに突入の頃、身辺が忙しくなったり、手術をしたからなのか急激に老けた感を自覚。写真は母親顔に、おばちゃん顔が加わった。以降、アラ還前には完全なるおばちゃん。そして、アラ還の今は完全なるおばちゃんを継続中。(本人の見立てに基づく)

 最近、遺影写真は何歳(いくつ)で撮るのがいいのかと冗談交じりに友人と話しました。出した結論は、若い頃の面影が残る程度の時。今がギリギリか、それともすでに過去の写真から選ぶ方がいいのか?自分の顔なのに、自分らしい顔がわからなくなりました。
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