第51話 日常の隙間

文字数 947文字

 夫が定年して3度目の秋。私たち夫婦の朝のルーティンは、ほぼ定まりました。今のところ不自由だと思ったことはありません。私はね。

 今朝は3日ぶりの早朝ウォーキング。日の出が日に日に遅くなるのを実感。午前5時に起きて、身支度に30分ほどかかりスタート。7時前に帰宅したが、玄関の生垣の小花と落葉が気になり掃除。集めたゴミと共に家中のゴミを集め、集積所へ。その後いつもの朝食と同時に洗濯機を回す。「おはよう」の挨拶以外、夫は朝から別行動。

 使った食器を洗っていたら、音も立てずにスーッと夫が現れ「図書館行ってくる」といきなり声をかけた。水をジャージャー流していた私は、突然の声に「うわっ、びっくりした‼︎」と思わず大きな声。夫の足音は、たとえ水を流していなかったとしても聞こえないくらい静か。忍者か。

 こんな動きだから、私の音が気になるようで、何度も指導(こごと)を受けている。先日は冷蔵庫の開ける音。閉める音ならまだ理解できるが、開ける音がうるさいと。「はぁー?こちとら料理を作

せていただいてる身(夕食のみ)忙しいんじゃ‼︎生活音なんじゃ、しかも一瞬のことやろが」と口汚く頭の中で叫ぶ。自分が開ける音はどうやっちゅうねん。私には同じ音量に聞こえますけど。フッ。

 こんなこともあった。トイレの開閉を静かにできないかと。以前、戸の滑りが悪くて直したら、少しの力で勢いよく動くようになった。トイレに入るときは、大体の人が余裕をもって入るが、切羽詰まることだってある。で、ガーッ、ドン!とやってしまうわけ。コレは、私だけじゃない。夫も同様。でも、不思議。自分の出した音は小さく聞こえるものらしい。

 結婚してもうすぐ30年。私は何処が地雷か分かっている。そして、それなりの配慮をもって生活しているつもりだ。不可抗力のときだってあるのだ。そろそろ、私の力加減や雑な所を認めてくれないか。私は、若いころのように言い返したりしない。それは、大きな地雷を何度も踏んできたから。

 人によってはこのエピソードをキツイと感じるかもしれませんね。事実だけど、コレは私側からの見方。 瞬間的に怒る季節は終わったかな。 夫は夫なりに、私は私なりに忍耐強く、許容範囲が広い自分だからやっていける夫婦だと思っているのです。めでたいよね。


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