第52話 冷や水

文字数 918文字

 あー、落ち込む〜。昨日の愚痴まがいのブログで、バチが当たったのかしら。それは昨日の晩ごはんのことでした。そして、落ち込んだのは今朝……

 私はときどき自ら冷や水を浴びることがある。自ら熱を冷ます。いわゆる、反省。昨日の晩ごはんは、韓国風チキン(衣がザクザクのやつ)とスンドゥブ。チキンは韓国へ行けなくなってから、食べたくてしょうがなかった。せめて新大久保でもと思っていたが、緊急事態宣言。例えそうじゃなくても、行きづらいこのコロナ禍。

 悶々としていたところ、カルディで『韓国チキンの素』を見つけ、料理したのは昨晩。液体衣を付けてからの粉衣。180度の油で二度揚げ。トングで掴んだ感触はガリガリと硬そう。まさに私が求めていたフライドチキンだ。意気揚々と皿に盛り、夫と「いただきます」

 ガブリ!とひと口噛んだ食感は、まさにYouTubeで言うところのASMR。が、しかし???。味がない。もうひと口ガリパク。やっぱり鶏肉の味しかしない。でも、念願のザクザクを食べることができたんだ、満足にしておこうと自分に言い聞かせながら食べた。

 そのころ、夫も私ほどの勢いは無かったが、無表情でガリパク。5本のフライドチキンを3本まで食べ進めたところで、席を立ってキッチンへ。塩の瓶を片手に着席。おもむろにパラパラとチキンの上にかけだした。そりゃそうだろ、濃い味が好きな夫にこのチキンは薄味すぎる。そう思いながら、私は何もかけずに食べ終えた。その後夫も完食。お気づきかもだが、食事中に会話をほとんどしないのが、我が夫婦の食卓。

 そして、翌朝の今日である。昨夜のチキンが頭から離れなかったので『韓国チキンの素』の説明書を見直した。泣、泣、泣。肉に塩コショウで味付けしてからと書いてあった。涙、涙、涙。昨夜、黙々とチキンを食べる夫を思い出した。冷や水、氷入りザッバーン!である。過去にも夫が私の料理にケチを付けたことは、ほとんどない。ただし、生煮え、生焼けを除いて。夫は出来の悪い料理でも、ちゃんと私に礼を尽くした食べ方をしてくれる。だから私は夫婦をやめられない。ごちそうさま。

 昨日のブログとは、打って変わったお話。上げたり下げたり、人生いろいろなんです。

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