第3話 デート

文字数 735文字

今日は竹下翔といわゆる「デート」というものをする。というか私学生時代から殺す目的以外で「デート」をしたことがない。今日はいつもより持ったメイクに男が好きだという香水を振りかける。そして、カバンに殺すための道具を入れる。
さあ、気合い入れて竹下翔を殺しに行こう。
十分前に着いたのにすでに翔は着いていた。
「すみません、お待たせしました。」
「今来たとこですよ!」
今来たというのは大概嘘だ。まあどうでもいい。私の目的は「殺すこと」なんだから。
「っていうか、俺が楽しみすぎて早く来すぎました笑」
「そうですか。」
しばらく沈黙が続いた。
「あ!ペンギンショーがやるみたいですよ!これ行きませんか?」
ペンギンショーか、、
ちょっと想定外だったけどペンギン好きだからいいか。
「いいですね。」
翔が水族館入ってすぐの掲示板を指差す。
「さあ行きましょう。」
「はい。」
私は翔の後ろを見るために一歩下がってついて行った。


ペンギンショーが終わった。ペンギンは相変わらず可愛かった。
「面白かったね〜。」
「ですね。」
「回ろうか。」
「回りましょうか。」
色んな魚を見て回った。クラゲの部屋では暗かったので弱点を探せるかと思ったのにうっかり手が触れてしまい気まずかった。
「あ、すみません。」「う、うん」
それから海水魚コーナーでは洞窟のようになっているところで魚を見ながら翔が体を寄せ「あ、あそこの魚きれいだね。」と言ってきた。その時に遠隔操作で毒針が発射されるものをつけようかと思ったがやめた。
そして、「香水つけてる?いい香り」と言ってきた。やっぱり男はこれが好きなのか。
「あ、はい。」
「可愛いね。」
そう言って頭を叩いてきた。私をバカにしてるの?本当に。あなた、めんどくさく私に絡んでくるね。速く依頼解決したいのに。
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登場人物紹介

菊川さえ

トールトのスパイ。竹下翔を殺すように命令される。完璧主義で何でもできる。恋愛に興味がない。

詐欺師。菊川さえを騙そうとする。明るい性格で、誰とでも仲良くできる。

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