第9話 ドキドキする、

文字数 796文字

やばい、今日は翔とのデートなんだけ ど、好きかもしれないと思ってからなぜ か無駄に緊張している。その反面少し嬉 しい、楽しみという気持ちがある。
「お待たせしました。」
「待ってないよ。今来たとこ。」
いつもの会話。だけどなぜか顔を見ると ドキドキする気がする。 何か会話しないと、
「今日は遊園地ですよね? 楽しみです。」
なんとか少し笑って誤魔化したけど、楽 しみとか言った自分恥ずかし過ぎるんだ けど。
「絶叫系行けるっけ?」
「はい」
「じゃあ、ジェットコースターも乗って…………。メリーゴーランドとか観覧車とか の無難なやつにも載りたいよね。」
目を見ると心が揺さぶられてなかなか目 を合わせられない。
「さえさん?」
「あ! すみません。」
あ、だめだめ。話聞かないと。
「何か悩んでることありますよね?」
もしかして私の気持ちバレてる?
「え?な、無いですよ!」
「ありますよね?」
何バレそうになってるの。私!
そう考えていると当たり前に殺そうとす ることもできるわけがなく、気分が乗ら なくて、遊園地も、デートも楽しめなか った。そんなことをしている間に時間も 閉園間際になってきた。
「最後に観覧車でも乗らない?」
「い、いいですね。」
二人で観覧車に乗った。小さな個室。距 離が近くて自分でも顔が赤くなっているのが分かる。
「あ、あの。」
「ん?」
「今日楽しくなさそうだったのは、私の せいですよね?」
私も分かってる。
「え?」
「いつもより全然話してくれなかったか ら、その、ごめんなさい! 私悩んでるこ とがあるんです!」
ああ、言ってしまった。
「でも、私、言えないんです! ごめんな さい!」
ああ、だめだ私。翔も驚いてるし、戸惑 っている。もう少し考えて行動すれば良かった。
「何で?何で言えないんですか? 俺がは、俺は……。」
翔が、ちょっと取り乱している。
「俺は本気でさえさんが好きなんです。」
え?!!!!!!!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

菊川さえ

トールトのスパイ。竹下翔を殺すように命令される。完璧主義で何でもできる。恋愛に興味がない。

詐欺師。菊川さえを騙そうとする。明るい性格で、誰とでも仲良くできる。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み