第4話 デート

文字数 1,081文字

「お昼ご飯食べましょ!」
「そうですね。どこにしますか?」
お昼ご飯か、、
それなら無味無臭で症状が現れるのは数時間から半日という最強の毒薬タリウムを入れたい。
「なにか好きなものとかある?逆に嫌いなものとか?」
殺せれば何でも良い。
「好きなものも嫌いなものも特にありません。翔さんが食べたいところで良いですよ。」
「じゃあ、ここにしようよ!」
「良いですね。」
そう翔が指を指したのは少しおしゃれなお店だった。ここは物が多く、死角になりやすい。そしてざっと見たところ防犯カメラもなさそう。それなら翔が、席を立った際に毒を入れられる。
「メニュー見ましょう。翔さんは何にします?」
「先、決めていいよ!」
「分かりました。」
まあ正直なんでも良い。さすがにハンバーグとかカレーとかは辞めて、、 パスタにしよう。
「じゃあ私はパスタセットで。」
「んー俺はランチセット1にしよ。すみません〜」
翔が、店員を呼ぶ。
「注文良いですか?このパスタセットとランチセット1をお願いします。」

「ペンギン可愛かったね。」
「そうですね。私、ペンギン好きなんです。」
「そうなんだ!誘って良かった〜。」
そんな話をしているうちに料理が来た。
「お待たせしました。」
そう言って店員さんが渡したコップに袖に隠しておいた毒を入れる。そして、翔に渡す。
「ありがとう。食べようか。」
「いただきます。」
食べ始めるが、翔が一向にコップに口を付けない。
「美味しいね。」
「美味しいですね。」
「一口いる?」
そんな、他人が口付けたスプーンを差し出されても食べるわけがない。はあ、早く飲めよ。
「大丈夫です。遠慮しときます。」
「そう。」
そう言って翔が手を戻した。その時、コップに手が当たり倒れた。
「ああっ!やばいどうしよう!」
「私タオル持ってます。使ってください。」
はあ?コップたおすとか馬鹿じゃないの?あー計画失敗。

それから少し近くを見て回った。

「そろそろ帰ろうか。」
「そうですね。」
「もう遅いし送って帰るよ。」
別に一緒に帰りたくはないが、殺せるチャンスがあるかもしれない。
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて一緒に帰ります。」

「駅どこ?」
「〇〇駅です。」
家をバレたくないので、家から3駅離れた駅を言う。
電車に乗ってるのときに何か仕掛けようと思ったのに翔が、ずっと話しかけてきたせいでなにもできなかった。
「着きましたね。ではここで。」
「暗いし、改札口まで送るよ。」

「今日は会えて良かったよ。またデートしよう。」
「そうですね。是非。」
結局、翔を殺せなかったからまた会わないと。本当にめんどくさい男。私が殺してきた人の中で1番簡単じゃない。


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登場人物紹介

菊川さえ

トールトのスパイ。竹下翔を殺すように命令される。完璧主義で何でもできる。恋愛に興味がない。

詐欺師。菊川さえを騙そうとする。明るい性格で、誰とでも仲良くできる。

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