第21話 原作者に嫉妬する

文字数 827文字

自分の仕事には納期がある。
とは言っても、間に合わなければ間に合わないと言えば、対処の逃げ場があるのは助かる。
自分は納期が近づくと集中力が増して、ネタが次々浮かぶ。
かなり脳が活性化するので、仕事しながら文字も打ち込む。
実はヒマな方がなにも浮かばない空白地帯だ。
締め切りはある方がいい。

自分は実は、小説家より原作者になりたかった。
なぜ原作者かというと、ヤマト時代からアニメとマンガ見てきて、原作者うらやましいとしか思って来なかった変人だからだ。
原作者!と出ると、顔を背ける。
この野郎、こんな素晴らしいもの作って貰いやがって、うらやましいから誰か見ない。
原作者不祥事が記事に出ると、異様にムカつく。

こんな自分なので、書くときは場面がアニメで浮かぶ。
つまり、それを文字に書き起こす作業に追われる。
だが、不思議なことに浮かぶアニメには顔がない。
服装は散漫で、決まってないのでラフ画のような映像だ。
ただ、設定馬鹿なので設定だけは詳細に浮かぶ。
キャラ表が浮かぶ。
それでも自分の固定観念におさまるのが嫌いで、他の人がどう浮かぶのかを見たい。
だからスケブで絵師さんに絵を頼むのが楽しみなのだ。

ただ、自分が思い浮かべるキャラはみんな泥臭い。
リリスの世界は、毎日風呂に入らない。
プラスティックの無い世界だ。

サトミの世界は、ひたすら男臭い。
デジタルとアナログが混在した戦後のバラックの多い退行世界。
プラスティックは石油由来では無いので、粗悪品はもろくてサトミは壊しまくる。

ナリタチの世界は、ただの水は水でしか浮かんでなかったので、絵師さんがきれいなハジマリノキミを書いてくださったので、目からウロコだった。
そうか、こんな姿でも成り立つのか。擬人化というのはこんな物か。
なので、アジロノハジマリノキミも水のドレス着せて、髪は結い上げた美人にした。

スケブは、原作者気分を味わえる一つの手だ。
そうか、スケブは原作者気分を味わえるのか。
書いてて気がついた。

つまり、原作者がうらやましい。
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登場人物紹介

・LLX

吐き出すのは冷気か排熱か

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