一文小説集「始発/お礼/嫁/もう/墓石」
文字数 245文字
口の周りを赤く染めたライオンが、始発電車の座席に座ってぼんやりと窓の外の海を見ている。
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脳味噌を交番に届けた少年が、持ち主からお礼に、三番目の恋の記憶を貰う。
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昆虫学者に嫁いだ姉が、実家にふらりとやってきて、台所のゴキブリ用の罠の前に座ると、静かに三味線を弾き始めた。
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「うちの子はもう学校には行きませんよ」と言って、彼の母親が指さす方を見上げると、彼は夏空にいて入道雲を食べていた。
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電話越しに母の急死を知らされた瞬間、目の前にある父の墓石にぶわっと鳥肌が立った。
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脳味噌を交番に届けた少年が、持ち主からお礼に、三番目の恋の記憶を貰う。
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昆虫学者に嫁いだ姉が、実家にふらりとやってきて、台所のゴキブリ用の罠の前に座ると、静かに三味線を弾き始めた。
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「うちの子はもう学校には行きませんよ」と言って、彼の母親が指さす方を見上げると、彼は夏空にいて入道雲を食べていた。
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電話越しに母の急死を知らされた瞬間、目の前にある父の墓石にぶわっと鳥肌が立った。