一文小説集「リーン/耳/ネジ/青海苔/籠」
文字数 233文字
秋の電話畑の方から、リーン、リーンと、鈴虫が張り合っている音が聞こえてくる。
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コンビニで耳を買った私に、「温めますか?」と訊いてきた高校生のバイトの耳は、赤く、温かそうだった。
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真夜中の粗大ゴミ置き場で、ロボットのカップルが、お互いのネジをドライバーで緩め合っている。
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空から青海苔が降ってきたので、そろそろこの土地から離れないといけない。
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籠いっぱいに位牌を詰めた自転車で海へ向かうおばさんを、死んだ子どもたちが笑いながら追いかけていく。
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コンビニで耳を買った私に、「温めますか?」と訊いてきた高校生のバイトの耳は、赤く、温かそうだった。
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真夜中の粗大ゴミ置き場で、ロボットのカップルが、お互いのネジをドライバーで緩め合っている。
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空から青海苔が降ってきたので、そろそろこの土地から離れないといけない。
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籠いっぱいに位牌を詰めた自転車で海へ向かうおばさんを、死んだ子どもたちが笑いながら追いかけていく。