一文小説集「光/殺虫剤/硬貨」

文字数 159文字

 仏像の代わりに巨大な電子レンジが鎮座する寺から、オレンジ色の光が夜の路地に差している。

***

 ホームセンターの殺虫剤コーナーの「しつこい妖精に」と書かれた缶から甘い匂いが漂ってくる。

***

 病室のベッドで眠り続ける母さんのおでこの硬貨投入口に、なけなしのお小遣いから五百円玉を入れて、母さんが目覚めるのを祈っている。
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