第X3話 揚げモン、GETだぜ!

文字数 879文字

「肉屋さんの(のぼり)を見ると、引き寄せられる~」
 筋肉には、いい肉だ。ミドルとウィルは店内へ吸い込まれた。

「ここのお肉でBBQも良さそうね!」
 國造りは肉作りから。

「俺いっつも思うんだけどさ、コンビニで高い軽食買うよりこういうとこで食べたほうが美味いしお得なんだよな」
 その場でフライを揚げてくれる。

「栄養の観点からもそうね。揚げたてには勝てないし」
 ウィルが日本好きなのも食文化によるところが大きい。

「俺はメンチカツに串カツだな」
 ライスも欲しいところだ。

「米価高騰なんてニュースをやってたけど、米の減産を決めたのが仇となったわね」
 米穀店に行くと、思いがけないラッキーフードに出逢うことがある。

「好き嫌いはあるだろうけど、パンより米を食った後のほうが動きに粘りが出るぜ」
 多様なおにぎり店もブームである。

「わたしはビーフカツにハムチーズ揚げにするわ」
 ウィルも細い躰で食欲旺盛だ。

「すぐ揚げるからね!」
 コイントレーは牛型であった。

 店内で待つ二人。なかなかお似合いだ。

「最近になって健康情報の変化を感じるぜ」
 ミドルが前から言っている炭水化物を悪者にすることへの嫌悪と、プロテイン礼賛への疑問である。

「塩分もね。夏場に水分だけで無く塩分も摂取することって注意喚起がされるけど、お塩を舐めておいしいって感じるのは人間の生存本能なのよ」
 これからのシーズン、粉末ポカリが大活躍だ。こちらもターゲットにされた。

「肝臓と腎臓への影響が軽視されすぎてる。タンパク質一辺倒じゃ内臓が破壊されるよなあ」
 見えないものが肝腎だ。

「中から綺麗になるって文字通り綺麗事のように言われるけど、車の外面(そとづら)だけいくらいじくり回しても性能は変わらないのと一緒ね。
 むしろ、人間としての機能は取り戻せないくらい落ち込んでいる。

「はい、お待たせ~!」
 こめ油の幸腹な香りが漂っている。

「俺は少食健康法なんて絶対無理だな!」
 少食健康法の実践者は、よほど無理しているのか食べるスピードが異常に速い。そんなに腹を空かせているのなら、食べて活動しての良循環を作るほうが滋養強壮に繋がる健康法だろう。






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登場人物紹介

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。


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