第11話 ゴジラ対ラドン効果

文字数 741文字

「ふむ、顔つきが変わったな」
 バルマンとの戦いを終えたミドルは、雲水のもとを訪れていた。兄弟子のススムもいる。

「じっちゃんのお陰だよ。オペをしてくれたからさ」
 そうは言うものの、ミドルは得意げだ。

「だがな、お前はまだまだ気性の荒っぽいところがある」
 教え諭す雲水。

「老師、そうなんですよ! ミドルは喧嘩上等なところがありますからね!」
 ススムが師の言葉に反応する。

「ミドルさなあ、お前はテレビの報道番組や討論番組を見てどう思う?」
 雲水がいまいち繋がりのわからない質問をした。

「まあ俺もたまに見ますけど、喧嘩ばっかりですよね」
 にわかに世間のことにも興味が出てきたミドルが、思ったままに答える。

「うむ。声のでかい相手に負けじとこちらも大きな声を出すと、ロクなことにならんぞ」
「どうして? こっちも気を張らないとやられちゃうじゃんか」
 馴れ馴れしさは治らないミドル。

「あっちが攻撃する気満々なのに、同じように応戦してはいかん。その気を削ぐように構えるんじゃよ」
「ミドル、こういうことだよ。お前の好きな『ゴジラとラドン』だよ。お互いが負けないようにと声を張り上げて戦うと、いずれ東京が壊滅しちまうってことさ」
 ススムが分かりやすく(たと)えた。

「あ~、なるほど。それはマズイな」
 ミドルは腑に落ちたようだ。

「陽に対しては陰。陰に対しては陽。この心構えでいると不思議と収まりが良いんじゃ」
「うんうん。陰に対して陰だと何も始まらないし、陽に対して陽だと収集がつかなくなるってことだね」
 ミドルが自分の言葉で分かるように理解した。

「御名答!」
 声の聞こえたほうを振り返ると、金髪の少女が奥からあらわれた。

「ウィル! なんでまたここに?」
「あ~ら、雲水博士はわたしのProfessorでもあるのよ?」




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。


ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み