謎の炎上

文字数 650文字

 バイトが終わると、あたりは暗くなっていた。
 お祭りがあると言ってたけれども、それもとうに終わっていた。
 そういえば、バイト中に打ち上げ花火の音だけは聞こえたっけ。
 時刻を確認しようとスマホを見て、私はぎょっとした。
 いろんなアプリの通知が100件近くある。
 さっきやりとりをして、返事をしなかったからの催促ならわかる。
 それだけでなく、写真用のSNSやつぶやき用のSNSなど、いたるアプリから通知が来てたのだ。
 どこが震源地なのか全くわからないくらいで、私は初めて動悸というものを覚えた。
 帰路につくため歩いていた足も止まる。
 とりあえず、通知を見てみる。

【ヤマダさんって、遊び人だったんだね】
【ネットで男漁りしてるとかサイテー】
【人の男までとっちゃうとかこわっ】

 身に覚えのないメッセージ通知が飛んできている。
 スマホを持つ手が震えた。
 こうしてる間に、どんどんと何かが拡散されて、心ないメッセージ通知が飛んできている。
 しばらく回らなくなった頭で考えを巡らせ、思い当たったのは……

--遊びの連絡を断って既読スルーしたから……?

 先程の女友達のタイムラインをみると、正解だった。

【Yさんは毎日男遊びで忙しくて、女の子と遊ぶ暇はないらしい】
【Yさんって?】
【同じ大学のカナだよ】
【やば! 確かに私も断られたことある】
【ネットで色んな男とやりとりして遊んでるみたいだよ】

「……なに、これ……」

 思わず口から言葉が漏れた。
 現実世界はお祭りの後の静けさに包まれているのに、私の心はざわつきしかなかった。
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