断っただけ

文字数 506文字

 大学二年生の夏、来年からは就活が本格的になるので、今年は遊ぶぞ、と意気込んでいたのだが……

「ヤマダさん、明日もシフト入れないかな?」

 飲食店のバイト休憩中、主任から声がかかった。
 15時くらいのランチタイムとディナータイムの間の時間、ようやくお客様の入りが落ち着いた時間である。
 今でこそ落ち着いているが、夏休みが始まってからは、忙しさに拍車がかかっている。お盆前後は尚更だ。

「いいですよ~、家庭持ちの人みんな休み取ってますもんね」
「ごめんね、ありがとう」

 私が返事をすると、シフト変更するためか、主任は休憩室から去った。
 カップのコーヒーを飲みながら、スマホをいじっていると、通知が入っている。

【カナ、明日遊び行かない? 海!】

 タイミング悪~と、私は苦笑いをする。

【ごめん、明日バイト~】
【まじか、じゃあ、今日の夏祭り行かない?】
【今バイトの休憩中だから無理だよ~】
【いつ遊べるのよ】

 やり取りをしていて忘れていたが、ふとスマホの時間を見ると、休憩時間は終わっていた。

「やば!」

 私はコーヒーを一気に飲み干し、返事はせず仕事へと戻った。
 まさかこれが、恨みをかう行為だったとは、私は全く想定していなかった。
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