文字数 7,646文字

 やぁ、と個人の居間で寛いで人懐っこく笑ったセオドアに苦笑して、コハクは鮮やかに裾を捌いて長椅子へ腰掛けた。彼の前には既に半発酵茶が置かれており、ふわふわと花のような香りが漂っている。
 この独特の香りは木自体が持っているもので、少しも香料を足していないのだと言ったとき、セオドアは大層驚いていた。それ以来、彼が好む茶の一つになっている。同じく華やかな香りをした故郷由来の紅茶も好んでいるようだから、存外華やいだ香りが好きなのかもしれない。故郷から茶の木をいろいろと持ち込んだ甲斐があるというものだ。
 侍女(レディズ・メイド)がコハクの茶杯を用意している間に改めて見遣れば、そこそこ育ちの良さそうな子弟風の出で立ちで、気軽なお忍び衣装とも言えなくもない。供に引き連れてきた護衛役も似たような姿だったらしいから、本当に気楽に遊びに来たようだ。
 今は主人の側を離れている護衛は、オクロウリーの所へ顔を出しているらしい。彼曰く、配下で固められている場所で、警戒する必要はないそうだ。
「そなたが普通に尋ねてくると、違和感が酷いのう」
「仕方ないでしょ、ここの魔除け突破するの面倒臭いし」
 いちいち許可を得るのも面倒臭い。得ても通過時の違和感は消えないし、それなら普通に正面から訪ねた方が早いのだと彼はぼやく。
 序でに、美味い酒場(タバーン)があるのだと、シャフツベリ氏族(クラン)からの情報がラドフォード氏族へ申し送られたらしい。そこは、オクロウリー絶賛の店なのだそうだ。
「というわけで、昼はそこで食べてきた。美味しかったよ」
「殿方は気軽に出掛けられて、羨ましい限りじゃ。酒場では、わらわも連れていけとは言えぬしのう」
「行きたいなら連れてくよ? 昼間だったら、街娘らしい格好してさえくれれば大丈夫じゃない?」
 夜も早い時間なら女性だってちらほらいるらしいから、とセオドアは小首を傾げる。
「ダンバーは、比較的治安もいいからね。連れてきてるのもユージンだし、きちんと送り届けるよ」
 良いのだろうか、と部屋の隅に控える筆頭侍女へ視線を向けると、彼女は小さく嘆息して優雅に一礼した。
従者(ヴァレット)殿へ確認して参ります」
 居残る侍女たちへ視線で待機を命じ、滑るように退出していく。
「それで、シャナは缶詰め中?」
「それほど根を詰めてはおられぬよ。流石、人を使うのが上手いな」
 次々と令嬢たちへドレスを割り振るさまには驚かされたが、預けていたドレスの仕様は全て憶えていると、あっさり告げられて更に度胆を抜かれた。
 何でも、きちんと把握していないと仕事にならない現場にいたことがあるそうで、遠い目で語る彼に針子たちが無言で肩を叩くさまが印象的だった。どうやら、彼女たちにもいろいろあったらしい。何やら固く握手を交わし、彼らの連携は、ますます良好になったようだ。
「他の針子たちは女人ばかりだが、仲良くやっておるようじゃ。オクロウリー殿の話しを聞くのは愉しく、学びも多いらしい」
「フィデルの所でも似たようなことになってるって聞いたような」
 その御蔭で、どんどん衣装が華美になるのだと、当人はげんなりと零しているとはセオドアの弁である。しかし、コハクは不思議そうに小首を傾げた。
「……華美であろうか?」
「地味好みだからな、フィデル。なんかシャナがぼやいてた」
 曰く、知り合いの黒髪連合が本当に残念、だそうである。その連合の中にはリリエンソール博士や世界図書館(ゲシヒテ)の主人も含まれているそうで、コハクは不思議そうに首を傾げた。
「……残念?」
「着飾れば見映えがするはずなのに、揃って服飾に全く頓着してない人たち、だって」
「……なるほど」
 シャナの見立ては間違いないから素直に従えば良いのに、と軽く肩を竦めてみせる。
「最近の僕の衣装、シャナの助言でアーウィンが手配してるから、矢鱈と領民に受けがいいんだ。僕の好みをきっちり見抜いてるみたいだから、外れを引いた感もないし」
「先日の茶会の衣装も、そなたに良く似合っておったのう」
「あれ、オルグレンに行った時にシャナが着てた奴を真似したんだ。僕が着るならこうした方がいいって助言を貰って」
 あざとさも追求してみた、と真顔で告げられて思わず吹き出す。明るい笑い声を立てる彼女に苦笑を浮かべて、セオドアは軽く不服そうに口角を下げた。
「これが、結構重要なんだからね? うちは領民が献身的に支えてくれる土地柄だから、彼らが支えたいと思うように演出してるんだ。見た目で満足してくれるんだから楽でいいよ」
「ふふふ、そうじゃな。ラドフォード卿は、幼い容姿ながら見目麗しくて、慈悲深く聡明な領主様だもの」
 ラドフォード内でよく言われている評価を口にすると、ますます口角が下がる。大方、幼い容姿の辺りが不本意なのに違いない。見た目は最年少ながら実は年長組なのだから、いろいろ複雑なのもわかるが。
 爵位保持者の中では最年長としないのは、実は彼よりも年上がいることをコハクが知っているからなのだが、そこは女性なので知らない振りをしていたりする。当人は気にしていないけれど、他人だろうが女性の年齢を云々と、いちいち細かい婦人もいたりするからだ。この辺り、女は面倒臭くてかなわない。
「フィデルも腹を括ればいいのに。あすこの若様贔屓も暑苦しいったら」
「そこは、シードとは違って、思春期を経て延々とあれらしいからのう……」
 おまけに、竜形態は彼ら曰く「史上最高の美竜」らしい。残念ながら見たことはないが。当人が、どちらかと言えば控えめな性格をしているから、本当ならうんざりどころの騒ぎではないだろうに。
 それに、黒竜は基本的に武門の種である。その中で生まれた珍しい魔術士。しかも、レアンドラのように混血ではなく、純血で出た魔術士だ。誕生時も大騒ぎだったらしいが、発覚した時は国を揺るがした、らしい。
 因みに、この辺りは全てレアンドラ情報だ。
「あー……。うん、それは嫌かもしれない」
 想像したのか、少々顔をしかめてセオドアが頷く。
「国を出て古い時代の砦に駐屯していたのも、国内が煩わしかったからではないかと、レアンドラが言っておったが……、さて」
「でもそれって、逆効果じゃないのか。フィデルはあの性格だし」
「側仕えが軒並み陥落しそうではあるのう」
 実際、オルグレン滞在中は従者たちが幾度か領城を訪ねているが、大層雰囲気が良かったらしい。しっかりと行き届いた使用人教育ながら、裏手へ回れば誰もが愉しげに仕事をしているさまは、主人の性質が透けて見えると言っていた。ああした人物が治めるから、シャフツベリの繁栄も頷けると。
 そういえば忘れがちだが、彼はあれで王族なのである。それが他国で領主をしているというのは、どうなのだろう。当人は、まだ立太子してないから平気だと笑っていたけれど。
 レアンドラ曰く、大殿様がいい修行だって言ってるからいいんじゃないの? とのことだが、長命に過ぎる竜族(ドラゴン)の感覚は、いまいち解らない。
 閑話休題。
 暫くセオドアと雑談していると、滑るように戻ってきた筆頭侍女が、優雅に一礼した。
「歓談中に失礼いたします。確認して参りました」
「ふむ。やはり駄目かのう?」
 いえ、とかぶりを振った筆頭侍女は、ほんのりと苦笑を浮かべたようである。
「今、ダンバーにはラドフォードとシャフツベリ両氏族が警戒しておりますので、夕餉に出かけるくらいなら問題はないと」
「本当かや? 珍しい! あぁ、でも」
 嬉しい、とはしゃぐコハクを微笑ましく見遣って、筆頭侍女は別の侍女へセオドアの供への言伝を申し付け、自身は外出の用意する旨を伝えて再び退出した。
「よかったね、コハク」
「うむ。しかし、夕餉を許されるとは」
 運良く許されたとしても、昼餉だろうと思っていたのである。これは予想外だった。
 コハクは、かなり模範的な領主であるといえる。堅実に封じられた地を治め、能ある者を重用して采配を任せる。自ら出向くことは稀で、その殆どは視察としてきちんと事前通告をし、姿を見せることで領民たちを鼓舞させる目的だ。
 なので実は、こうしてお忍びで何処かへ出掛け食事をするのは、封じられてからは初めてのことである。
 わかりやすく浮かれるコハクに対して、セオドアは苦笑混じりに小首を傾げた。
「んー、実はうちのとシャフツベリのが、結構出入りしてるみたいなんだよねぇ」
 どうやら両氏族たちは、オクロウリーの味覚へ絶大な信頼を寄せているようで、彼が美味だと言った店へ、足繁く通っているらしい。そんな場所がダンバーにはあちこちにあって、何処かしらにどちらかの関係者が常にいるのだそうだ。因みに、屋台や朝市も例外ではないという。
 それを従者も承知しているのではないか、と促されて、ちらと「そうかもしれない」と考えた。ラドフォード氏族とは連絡を密にしているはずだし、宰相殿が顔を出した際、何やら聞かされたのだろう。
「……そういえば、アールヴを保護していると聞いたが」
 シャナが見つけた奴か、と頷いて、セオドアは軽く肩を竦めた。
「あっちはシャフツベリのが担当してるから、僕はあんまり詳しくないんだけど」
 それでも凡そは耳に入っているようで、軽く説明してくれる。
 当初、酷く衰弱していたらしい件の人物は、今では床払いをして、ゆったりと体力をつけようとしているらしい。自力で馬車に乗って移動できる程度に復調するのを待って、正式に接触する予定となっているそうだ。
「それまでは、うちも軽く補佐することになってるけど。あちらの方が人数多いからさ。今のところは、コハク優先で動いてるかな」
「必要となったら、あちらへ回しても構わぬよ。逃れねばならぬような扱いを受けてきた御仁だもの、よくよく目を配ってやってほしい」
 ふと、セオドアが柔らかく微笑んだ。なんだろう、と不思議そうに小首を傾げるコハクに笑みを深くして、彼は口を開く。
「コハクのそういうところ、好きだなと思って」
「……そうやって、事あるごとにからかおうとするところは嫌いじゃ」
 ほんのり頬へ朱を差して、つんと顔を背けたコハクは、によによとこちらを眺める視線を気にして、落ちつきなく髪を弄った。ちらりと彼を見遣って、ますます落ちつかない様子で茶杯へ手を伸ばす。
 惚れた弱味とよく言うが、セオドアは本当に質が悪い。今までは見て見ぬ振りをしてくれていたのに、近頃はどういう心境の変化か、こうしてコハクを構い倒すのだ。嬉しくない訳ではないのだが、どう反応していいのやら。
 一人でぐるぐるしているコハクを他所に、機嫌良さげにコハクを眺めていたセオドアは、ふと表情を改めて窓へ視線を向ける。
「しかし、アールヴか。僕だと、真っ先に英雄譚が思い浮かぶんだけどな」
 英雄譚? と小首を傾げるコハクに、改まった様子で座り直したセオドアは、思案げな表情を見せた。そのさまに、コハクは興味深げな目を向ける。
「若い世代は尊大なエルフ像が浮かぶみたいなんだけど、本来アールヴとエルフの立ち位置は逆だったんだ」
 セオドアがただの子供だった頃、アールヴの英雄譚は寝物語に聞かされる定番の話の一つだったのだそうだ。彼自身もお気に入りで、小さな頃は寝間で乳母に何度もせがんだのだという。
「だから、シャナがアールヴの先祖返りって聞いた時、なんとなく納得したんだよ。雰囲気というか、在り方? かな。寝物語の英雄っぽいんだよね。本来のアールヴって、シャナみたいだったのかも」
「うん? オクロウリー殿は、そうなのかや?」
 名残りはなさそうだがのう、と小首を傾げると、果たして彼は小さく笑った。
「何だか勘違いされてるけどね、アールヴって別に耳は長くないんだよ。あれらは精霊種の一つで、どちらかというと、ほら。竜族や人間と同じく、形作る時に神の姿を真似たと言われているんだ」
 寧ろ長い耳はエルフの特徴で、アールヴの変異種として認識された時には既に長かったらしい。どうしてそんな特徴が出たのかは不明だが、当時は純粋な精霊種のアールヴに対しての、雑種として扱われていたはずだ。長耳と言えば当時の蔑称で、後のエルフたちが苛烈な言葉狩りを行い、現在では耳にすることもなくなったという。
 そんな説明を相槌を打ちながら聞いて、コハクは軽く眉根を寄せた。
「本当に、全く逆じゃな」
「だからこその、英雄譚さ。虐げられ、滅ぼされようとしたエルフへ手を差し伸べたアールヴの話。……あー、もしかして、その時に敵対したアールヴたちの印象が、極端に強くなったのが原因かな」
 だとしたら、恩人も貶めてしまっているのでは本末転倒だ。セオドアとしても身近にアールヴもエルフもいなかったため、いつからどのようにして認識が入れ代わっていったのか、よく判らないらしい。気が付けば現在の認識が常識として語られ、アールヴはすっかり見かけないモノとなったそうだ。
「大戦の頃には、もう殆ど見かけなかった気がする。その頃には、世間はすっかり今の見識になってたな」
「その頃には、エルフの国も建国から長かったのかや?」
「どうだろう? ウェルテよりは長いと思うけど」
 いつの間にか出来てたんだよね、と小首を傾げる。
 大戦の頃には石造りの壮麗な街並を誇る、美しい国となっていたそうだ。しかしその内実は、とても見てくれには沿わなかったと。
「訪れたのは一度だけ。でも、見事な張りぼてだったよ。二度と来るかって思ったね」
 嫌そうに小鼻へ皺を寄せ、冷めた茶をぐいっと飲み干した。
 彼らは、自尊心山の如しと揶揄されるそのままの性情をしており、美しいことに対しての執着が酷かったとセオドアは言う。
 街並は、確かに美しかった。けれどそれを維持しているのは、彼らが醜いと嫌悪を露にする種たちで、それらを下男のように扱っていたという。
 彼が必要に迫られてかの国へ訪れた際も、見てくれに惹かれて擦り寄ってきたらしい。そのくせ、彼らが人狼(ライカンスロープ)だと知った途端に盛大に掌を返し、醜悪なまでに顔を歪めて口汚く罵られたのだそうだ。
「ああいうの見せられると、古い時代に雑種扱いで毛嫌いされてた理由というか、浅ましさを感じるな」
「幸いなことに、オクロウリーさんが保護されたエルフは、きちんとしたお嬢さんらしいですよ」
 ふと別の声が割り込んで、二人は開け放した扉を振り向いた。そこにはセオドアの護衛が立っており、飄々と一礼する。
「ユージン、どうした?」
「いえ、夕餉をプリジェン卿とご一緒すると伺ったので。昼の場所でいいんですよね? 席の予約をお願いしてきましょうか、と伺いに」
「あれ、あの酒場できるんだ? そういえば、隅に個席あったな。頼むよ」
 畏まりました、と奇麗に一礼した護衛は、にこにことコハクを見遣った。
「いい酒場でしたから、期待していてくださいね」
「有難う、ハクスリー殿。宜しく頼みます。ところで、保護される予定のエルフは女人なのかや? アールヴも?」
「いえ、アールヴは男性です。まだ若いそうですよ。お嬢さんは囚われの幼馴染みを助け出して逃げたとか」
 性情というより育ち方だったのかもしれませんねぇ、とため息をついて、護衛はきびきびと退出していった。そういえばあの時の護衛もユージンだったな、と呟いて、セオドアは苦笑を浮かべる。
「……それは、エルフ側が助かったというべきかのう」
「うん。ユージンが一番客観的で、理知的に物事を考えるんだよね。装うのも巧いから、連れて歩くには最適」
 苦もなくヒトビトの中へ溶け込み、誰とでもあっさりと仲良くなってしまうのも強みだろう。セオドアが言うにはオクロウリーとも親しくなったようで、たまに休日になると遊びに行っているらしい。そうして彼からの助言を書き連ねた紙束を、従者への土産に持ち帰るのだそうだ。
「助言を貰うようになったのは、どうやらアーウィン自身が、シャナへお仕着せの仕立てを頼んだことが切っ掛けだったらしいな。新たに仕立てるならと、マーシャルに勧められたとか」
「なるほど。最近は、身体に合ったお仕着せを身につけているなと思うておったが。個性を押さえているのは、従者という職業故かのう」
 流石にそれは気づかなかった、と感心する。あれはまるで、お手本のように美しく仕立てられていたから。しかし思えば、細かく約束事のある礼装なども手掛けるはずなのだ。そのくらい、出来て当然なのだろう。
 実際、オクロウリーの仕事は端正な物も多いという。当人が初めに街の小さなテーラーを名乗って工房を開いたことから、少し裕福な労働者階級から中産階級までを顧客に抱えているそうだ。着易く丈夫で、少々雑に扱っても型崩れしにくい諸々は、彼らに絶大な支持を受けているという。
「アーウィンはシャツが気に入ってるらしくて、少しずつ入れ替えていってるみたいだな。この間は、織りで柄出ししたシャツを着てたんだ。よく見たら縞になっててさ。あれ、いいなぁ」
 他にも、目立たない所の一つだけボタンが違っていたり、カフスや襟元の形が、少しだけ凝っていたり。そういうところがくすぐられるのだろう。
「シードは頼まないのかや?」
 尋ねると、彼はひょいと肩を竦めてみせた。
「うちはね。フィデルの所みたいに、職人たちがシャナと仲良くなっちゃったら平気なんだろうけど」
「……あぁ。嘆かれると」
 かの若様に負けず劣らず慕われている、見た目だけは少年伯爵なのである。おそらく噂に聞くテーラーたちと同等の熱量を持って、敬愛する領主様の衣装を手掛けているだろうことは、容易に察せられる。
「助言自体は興味深く見てるみたいだし、話してみたいとは思ってるようなんだけどね」
 あまり無理を通しては、オクロウリーの望む平穏さからますます遠離っていきそうだ、と憂鬱そうに嘆息した。どうやら、セオドア自身も彼を相当気に入っているらしい。
 穏やかに笑ったコハクは、静かに戻った筆頭侍女に気づくと時計を見遣り、席を立った。
「さて、そろそろ着替えてくるとしよう。行くとなったときに、すぐに出られた方が良かろう?」
「あぁ、そうだね。というか今更だけど、お忍び用の衣装なんて持ってたの?」
 不思議そうに尋ねられて筆頭侍女を見遣ると、彼女はしれッと「針子たちの合作です」と告げる。
「オクロウリー殿が手早く型紙を起こされまして、総出で縫っておりました」
「……いつの間に」
「仕事早すぎない?」
 庶民の服なんてそんなものですよ、とほんのりと目許を緩めた彼女は、恭しくコハクを促したのだ。
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