第14話 創作におけるゾーニングを調べる

文字数 2,093文字

去年から、ゾーニングに関する書籍や残虐・性描写のある小説を読み漁っている。
理由は『ゾーニングの説明』のため。

ここでのゾーニングは『創作に関するもの』の話。医療やその他の話ではないです。


まず、言葉の確認から入ると、『ゾーニング』だけでは別ジャンルの話も混ざってしまうという事を理解した。感染症対策でのゾーニングもそうだが、『ゾーニング』という言葉だけでは『分ける』という意味なので他のジャンルでも使われている。

本当は『文字や小説に関するもの』に限定したかったけど、それだけだと範囲が狭すぎて調べられなかったのと、『文字の規制はない』という暴論に突き当たるので広く『創作』で調べることにした。特に性描写を調べるためにも『性教育』の本も読み漁った。他にも関係するものがありそうと思えば、あちこちのジャンルを読んでみた。もちろん、『ポリコレ反対』という反対派の意見の本も。

なぜ、本で読むのかと言えば、ネットで調べるとキリがなくて反対派意見に鬱々とするから。本なら一冊と範囲が決まっている。さらに『一人の著者の意見』として読むことが出来て、ダメージが少ないからだ。

反対派の意見を読むのはチクチクと辛かった。しかし、『ポリコレ反対』という意見の本はあっても『ポリコレ賛成』という意見の本はない。なぜなら、ポリコレ賛成に意味がないからだ。そこは『表現における女性差別』や『子供のアダルトサイトへの対応の仕方』など、『ポリコレ』という意見での賛成ではなくて『具体的に何を問題としているか』と『その対策』として書かれている。

反対派はただ『相手のお気持ちで表現が消される』と意見表明するだけでいい。『多様性を認めるなら、性描写も認められるべき』と『多様性』を見せたい人のものにするだけでいい。今、議論されているのは『見たくない人の権利』と『性描写における差別構造と差別の拡散』という問題点だが、その辺りは反対派はスルーしている。

そして、反対派はなぜか『実写性器の規制は必要ない』という、現状の表現規制には一切触れない。逆に、ゾーニングが必要だと言っている人たちの中からは『実写性器の規制は不必要なのでは』という意見を見かけた。
一見逆転しているような意見だが、『ゾーニング賛成』はたいていの場合は『自主規制』であって『法規制』を望んでいるわけではない。むしろ、表現の自由のために自主規制が必要であり、法規制は不必要だという意味で『実写性器の規制撤廃』を訴えているのだと思う。

ただし、ここはすごく微妙な点で現状『法規制があるから、実写性器は禁止されている』ので、法規制がなくなればアダルトビデオでは実写性器、またイラスト系でも性器のもろだしが当たり前になってしまうだろう。さらにそれが、電車の中吊り、街中の看板にさえ広がる可能性がゼロではない。
理由は『自主規制が全く機能しておらず、その必要性さえも理解していない社会』だからだ。

私も個人的には『実写性器の法規制』は撤廃された方がいいと思う。しかしそれは、『自主規制が機能して、街中の看板などでの炎上案件がゼロになってから』だと思う。

まずは、『自主規制』と『法規制』の違いと、『表現の自由』と『青少年育成保護の権利』と『見たくないものを見ない権利』のバランスをどうやってとるべきかと、『性教育の徹底』が必要だと思う。

特に『性教育の徹底』がない現状で、女性の人権を踏み潰す創作作品があふれている社会で、人が『女性の人権を踏みつける事は当たり前』としてそれにさえ気が付いていない状況で、『実写性器の法規制』を撤廃すると単に『女性の人権を踏みつける作品のさらなる流出』にしかならない地獄しか見えない。


というわけで、最初はゾーニングを訴えようと思っていた私は、今は『その前に性教育と人権教育に照らし合わせて、作品を解体していく』という方向の方が伝わりやすいのではと思ったのである。

その上で『そのゾーニングは必要かどうか』を考えて、『その場所で作品公開をする』ことが必要。
表現の自由はまず『創作する時に好きに書け』という点で保障されているし、『困ったら、なろうのR18サイトに放り込め』で公開の自由も保証されていると思う。なろうのR18で削除になったという話は見つけられなかった気がするけど、あそこを放り出された作品はあるのだろうか。pixivでも同じく公開できるはず。
ただしどちらも、年齢を18歳未満に設定すると公開できない。

この設定は規制にはならないし、歳をとれば公開できるので問題はないと思う。設定はごまかせるとしても、子供が『18歳になっていない人は公開できない』という情報を知るためにも必要な制限だと思う。
その前に、R18作品を見せた保護者やサイトが問われるという可能性もゼロではないけどね。

R18作品を子供が見た場合、罪に問われる可能性があるのは大人側という事も頭に入れておくといいよと思う。ただし、文章の場合は除外されるという……。
だから、『女性蔑視作品』は堂々と公開されているんだよねという無力感。

やはり、『ゾーニング』よりも『人権』と『性教育』の話が先。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み