第7話 嫌悪感と物語

文字数 1,009文字

感覚的に嫌悪感があるという話を前回のラストで書いたので、その話について書いていこうと思う。

私が感覚的に嫌悪を覚えるのは「キャラクターが酷い目に合う物語」ではないし、それは私の好みだと書いた。
では、私が感覚的に嫌悪を覚えるのはどんな物語かといえば、「良い事として、酷い事が行われる」物語である。

例えば、「恋愛もの」の世界である。少数の例外を除いて、恋愛ものの大半は「良い事(相手が好きだから)」という理由で、相手の領域を犯しているのに領域を犯されている相手役も「それを嬉しいものとして受け取る」のである。
わかりやすく言えば、「壁ドンを喜ぶ女性キャラ」「不意打ちキスに喜ぶキャラ」などである。
壁ドンは性加害であり、不意打ちキスなどは嫌悪の対象であるということは一切描かれない。その時点で私は恋愛ものが嫌いである。



また、ドラマ作品を見て思ったのは「マウントもの」も無理である。
女性たちの内心を描いていたドラマが昔あったが、表面上は仲良くしながら内面は相手を蹴落としているという物語である。内面と表面の差が面白い見どころとなっていたが、私はそれは一切楽しめなかった。
これが楽しくないのは、内面が真っ黒すぎるのである。人は多角的な面を持っていると私は思っているので、「真っ黒な内面だけの人間」など病院行きレベルのやばい人でしかない。しかし、物語ではそれらが普通の人として描かれている。
そんな一面的な人間の物語は楽しくないし、真っ黒な内面が気持ち悪すぎて見るに堪えなかった。


細部は忘れてしまったが、ハリーポッターのハーマイオニーのセリフに屋敷しもべに対するものの中にこんな風なものがあった。記憶で書いているので細部は違うかもしれない。

「それが普通だから、叩かれても蹴られても彼らはなんとも思わないのよ」

屋敷しもべは奴隷のような存在であって、叩かれても蹴られても『当たり前』だと思っている。しかし、外からそれを見ていると『酷い事』であるのは一目瞭然だ。中にいてそれが当たり前だと思っている者にはそれがわからない。

恋愛ものの大半はそのような『閉じた特殊な世界観』だと思えばいいのかもしれない。しかし、その『閉じた特殊な世界』ということを理解していない人の存在も実感しているので、やはり私はその世界観を楽しめない。


もちろん、ほかのジャンルでも似たような世界観はあるのだが、恋愛ものが私の観測範囲内では目立っているような気がするという話。
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