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文字数 1,038文字

「念の為、確認するが……吐前(はんざき)のおっさん、あんたの能力ってさ、相手の『思い込み』や『先入観』に反するような『精神操作』は失敗する確率が高くて、そうじゃない『精神操作』は簡単に出来る。例えば……『ここは安全な場所だ』と思ってる奴に『しばらく、ここに居ろ』と云う『精神操作』をやる場合は簡単に成功するが、『ここは危険な場所だ』と思ってる奴に同じ『精神操作』をやったら失敗の確率はダダ上がりする。そんな感じじゃないのか?」
「え……ええ。そうですが……」
「なら、まず、俺が後でリストアップする奴に『精神操作』をやってくれ。なるべく決行の日の晩飯の時か風呂場でな。どんな『精神操作』かはリストを渡す時に説明する」
 俺は気を取り直して、プランを解説した。
「え? でも……『正義の味方』どもに『精神操作』は効くのか?」
 とんでもねえ「やらかし」をやりやがった事が判明したヤクザの若旦那が、そう聞いた。
「多分、効かねえ。それも、戦闘能力を持ってる奴だけじゃなくて、後方支援の非戦闘員さえもな」
「じゃあ、意味ねえだろ……」
「いや、『精神操作』が効く奴らが、ここに居るだろ」
「誰?」
「あの……まさか……その……」
 その時、源田のおっさんが俺の意図に気付いたようだった。
「俺達は悪党だ。心を鬼にしろ」
「そ……それでも……」
「だ・か・ら、心を鬼にしろ」
「何をやるつもりなんだ?」
「で、若旦那に『教祖サマ』に『クリムゾン・サンシャイン』。明日、売店でテイッシュを各1箱か2箱買ってくれ。俺を含めた残りの3人は、ガムテープかセロテープを怪しまれない範囲内でなるべく多く買う。いいな?」
「何で、俺達3人がテイッシュを買わないといけないんだ?」
「怪しまれないからだ」
「何で?」
「『何で』って何がだ?」
「だから、何でティッシュ?」
「俺達6人の中で、若い順番に3人選んだの。若い奴だったら、ティッシュを2箱ぐらい買っても、怪しまれねえだろ」
「いや、質問に答えてくれ、何でティッシュ?」
「あのな……あんた、『オ○ニー』の意味を知ってるのに、知らないフリしてる小学校高学年の子供か?」
「いや……『オ○ニー』に使うように見せ掛けようとしてんのは判るよ。判らねえのは、本当の使い道だよ」
 ああ、そう云う意味か……。
「だから、俺達の体に印刷されたマイクロマシン・タトゥーを焼いた後の消毒とガーゼ代りに使うんだよ」
「やっぱり……焼かないと駄目?」
「あれを何とかしないと……俺達の居場所が『正義の味方』どもに丸判りだろうがッ‼」
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