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文字数 770文字

 だが……路地を抜け別の大通りに出た瞬間……。
「うわああッ‼」
 俺達一行に危うく電動原チャリが特攻しかけたが……原チャリの方も急停止。
 とりあえずの問題は2つ。
 その原チャリが走っていた場所と、原チャリの運転手だ。
「な……なんじゃあッ⁈」
 ……一瞬、何で、こいつがここに居ると言いかけたが……こいつが騒ぎの元凶である以上、この辺りに居てもおかしくない……。
「な……何でお前がここに()る⁈」
「てめぇこそ、何、原チャリで歩道を走ってる? 愛国者ぶってるクセに交通ルールを守らねえつもりかッ⁈」
「そもそも、今、この辺りには、車も通行人も居ない……少なくとも一般人は……。そして、ここは我が国では無い」
 今、カメラか携帯電話(ブンコPhone)を持ってりゃ、お宝映像が撮れただろうが、生憎、どっちも持ってなかった。
 ほんの少し前まで「悪の組織」の首領だったヤツが、護衛も無しに原チャリに乗って町中を走ってやがる……。
 だが……「カメラさえ有ればお宝映像が撮れてた」事態は更に続いた。
「シぃ・バぁ・ラぁ・マぁ〜っ‼」
 中年より上の齢らしき男の韓国語の怒号。
 韓国の映画やドラマでお馴染のアレ……英語の「Fワード」に相当する罵倒語だ。
「えっと……あれ……何?」
「知らなかったのか? (コム)社長の真の姿だ……」
「えっと……『熊おじさんホールディングス』の熊社長って……そう云う意味……?」
「獣化能力者など、めずらしくは……」
「ふ……ふざけんな……」
 俺の元所属組織の大宮司(クソじじい)のその一言は……正しいと同時に間違っていた。
 獣化能力者なんて、近頃じゃめずらしくもないだろう……。
 だが、ツキノワグマの姿に変身した熊社長は……少なく見積もっても、並の「魔法使い」2〜3人分の「気」を持っていた……。
 それも……自分の「気」だの「霊力」だの「魔力」だのを操れる者に特有の「気」だった……。
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