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文字数 1,320文字
そして、俺達3人と、韓国で合流した2名、更にヤクザの若旦那の知り合いの医者が揃ってやって来たのは……西鉄久留米駅付近の繁華街に有る地下駐車場だった。
普通の駐車場じゃない。
警備は万全。会員用のIDカードが無いと出入り不能。
そして、そこに有るのは……。
「す……すげえな……」
「いや……車の事は良く判んないが……壮観だって事だけは何となく判る」
ズラっと並んでるのは九〇年代以前のガソリン車ばかり。
「全部、私のって訳じゃないですよ。5〜6台ぐらいです」
「なるほど……これの維持費の為に、ヤクザから表沙汰に出来ない怪我人の治療を請け負ってたのか……」
富士の噴火の前から、ガソリン車だろうとEV だろうと車載コンピュータでの制御が当り前になっていた。
アクセル・ブレーキ・ハンドル操作は一端、電子信号に変換された上で、車載コンピュータのAIで補正される。
ガソリン車のギアチェンジやEV の電動モーターの動作モードチェンジは、これまた車載コンピュータのAIが良 きに計 らってくれる。
事故が起きても、またしてもAI様が車の操作を乗っ取りあそばして、被害を軽減してくださる。
その他、縦列駐車みたいに、昔だったら、自動車教習所で巧くいかずに、教官に罵倒されてたような事も、AI大明神様が自動運転してくれる。
昔より車の運転は楽になった……その代り……。
車載コンピューターが無ければ車を動かせないと云う事は……その車載コンピューターを遠隔操作 で止められれば、車は動かなくなる。
車にGPS発信機が付いているので、車の位置はすぐに判る。
自動車泥棒は、どこの国でも割に合わない犯罪 になった。
ただし……昔の車を除いて。
だから、旧車マニアは、車を、こんな感じの警備がしっかりしてる駐車場に預けるようになった。
そして……。
「なるほど。ここの車を使えば……」
「ああ、この医者 が俺達の事を『正義の味方』に密告 っても、『正義の味方』が俺達を追跡するのは難しくなる筈だ」
「じゃあ、この車を使います」
そう言って医者 が指差したのは……。
たしか……トヨタのランドクルーザー。
「日本がバブル期だった頃の型式 です。この車種の中でも、最高傑作ですよ」
「なんか、言い方がオタクっぽいな……」
「ええ……若い頃好きだった小説の主人公の愛車がコレでしてね……。でも、新車を即金で買えるようになった頃にはSUVでさえEV が主流になってた」
俺達は5人乗りの筈の車に無理矢理6人乗り込み、地下駐車場を出て……。
「えっ?」
ふと、外を見ると、地下駐車場の出入口付近には似つかわしくない4人組。
どう見ても、高校生ぐらいのメスガキども。
全員フード付の上着を着て、そのフードで顔を隠しているが……。
「ま……まずい……」
「お……おい……GPS付きのマイクロ・マシン・タトゥーは焼いた筈じゃ……」
「わ……わからん……どうなってる?」
「いっそ、ここで轢き殺すか?」
「馬鹿野郎。大儲けまで、もう少しなのに、騷ぎを起こす訳にはいかねえだろ……。大体、やつらをここで殺せても……『正義の味方』どもは、まだ、いくらでも居る」
メスガキ4人の内2人は……博多港に居た「正義の味方」らしき奴らだった。
普通の駐車場じゃない。
警備は万全。会員用のIDカードが無いと出入り不能。
そして、そこに有るのは……。
「す……すげえな……」
「いや……車の事は良く判んないが……壮観だって事だけは何となく判る」
ズラっと並んでるのは九〇年代以前のガソリン車ばかり。
「全部、私のって訳じゃないですよ。5〜6台ぐらいです」
「なるほど……これの維持費の為に、ヤクザから表沙汰に出来ない怪我人の治療を請け負ってたのか……」
富士の噴火の前から、ガソリン車だろうと
アクセル・ブレーキ・ハンドル操作は一端、電子信号に変換された上で、車載コンピュータのAIで補正される。
ガソリン車のギアチェンジや
事故が起きても、またしてもAI様が車の操作を乗っ取りあそばして、被害を軽減してくださる。
その他、縦列駐車みたいに、昔だったら、自動車教習所で巧くいかずに、教官に罵倒されてたような事も、AI大明神様が自動運転してくれる。
昔より車の運転は楽になった……その代り……。
車載コンピューターが無ければ車を動かせないと云う事は……その車載コンピューターを
車にGPS発信機が付いているので、車の位置はすぐに判る。
自動車泥棒は、どこの国でも割に合わない
ただし……昔の車を除いて。
だから、旧車マニアは、車を、こんな感じの警備がしっかりしてる駐車場に預けるようになった。
そして……。
「なるほど。ここの車を使えば……」
「ああ、この
「じゃあ、この車を使います」
そう言って
たしか……トヨタのランドクルーザー。
「日本がバブル期だった頃の
「なんか、言い方がオタクっぽいな……」
「ええ……若い頃好きだった小説の主人公の愛車がコレでしてね……。でも、新車を即金で買えるようになった頃にはSUVでさえ
俺達は5人乗りの筈の車に無理矢理6人乗り込み、地下駐車場を出て……。
「えっ?」
ふと、外を見ると、地下駐車場の出入口付近には似つかわしくない4人組。
どう見ても、高校生ぐらいのメスガキども。
全員フード付の上着を着て、そのフードで顔を隠しているが……。
「ま……まずい……」
「お……おい……GPS付きのマイクロ・マシン・タトゥーは焼いた筈じゃ……」
「わ……わからん……どうなってる?」
「いっそ、ここで轢き殺すか?」
「馬鹿野郎。大儲けまで、もう少しなのに、騷ぎを起こす訳にはいかねえだろ……。大体、やつらをここで殺せても……『正義の味方』どもは、まだ、いくらでも居る」
メスガキ4人の内2人は……博多港に居た「正義の味方」らしき奴らだった。