二 恋は盲目 愛は不滅

文字数 7,271文字

 トラが見ているパソコンを通じて、実況中継するように、メグの部屋の画像があたしのスマホに現れた。
 メグはダイニングキッチンで何か作ってる。夕飯だろうな。こういうところは几帳面なメグだ。今日の夕飯はなんだろ?
 あたしはそう思うが、スマホが動かないから、メグが作っているのが何かわからない。

 メグの部屋の画像が動いた。メグの横顔がアップになって、ヘビオの顔が現れた。ヘビオがメグの頬に口づけした。ヘビオはスマホでふたりを自撮りしている。
 口づけされてメグはうれしそうだ。
『オレはメグにメロメロだ。いつまでもいっしょにいたい・・・』

「トラ!ヘビオはメグにベタボレだぞ」
 あたしはスマホから視線をトラへ移した。
「今はアツアツじゃからのお。寝技の後がどうなるか見物じゃよ」
「そうだった・・・」
 トラが机から下りて、椅子に座った。背もたれにもたれて腕組みしている。

「そんなんじゃ疲れるよ。こっちに来ればいい。ふたりでパソコンで見ようよ」
「すまぬなあ。わしにはパソコンを運べぬ。頼むぞ・・・」
 あたしは机に行って、パソコンとトラをソファーテーブルとソファーに移動した。

「サア、これでいい。スマホで見るより見やすいし、疲れない。
 トラ。寝てていいよ」
「寝るわけにはゆかぬよ。ヘビオを確かめて心の声を録音せにゃならぬ。好物の焼鮭も食わねばならぬ。眠りの境地へわしを誘惑するな」
「うん。だけど、のぞき見は気がひけるなあ」
「何を言っとる!サナは寝技ののぞき見を、イッヒヒヒ、どうしてもにやけてしまう、と言っとったぞ」
「そう言うな・・・」
 あたしの思いはトラに筒抜けだったなあ・・・。

「オオッ、メグが野菜炒めを作ったぞ。こりゃあうまそうだ!炒め方がうまい!
 なんと、メグの実家は中華料理屋さんか?料理など教えられなかったのに、見よう見まねで覚えたと心は言っとるぞ」
「そんなこと、一度も聞いたことないよ」
 メグは、実家は事業をやってると言ってた。あたしはメグの実家が生産会社を経営していると思っていた。

「話しにくいこともあるさ・・・。なるほど、後継者のことだ。
 ヘビオがスマホを自撮りにして録画しはじめたぞ」
「『川田家の人々』の始りだね!」
 メグの名は川田恵だ。

「寝技はすぐにははじまらん。サナ、今のうちに鮭を焼いとけ!」
「あいよ!了解!」
 あたしはすぐさまキッチンへ行き、解凍しておいた塩鮭をオーブンに入れた。弱火でじっくり十分焼けばいい。セットしてソファーにもどった。

「トラ、鮭とご飯でいいか?」
「ああ、それでいいぞ!鮭は飽きないからのお!」
「そう言ってくれると助かるよ」
「なぜそんなことを言う?」
「もっと他の物を食いたいなんて言うかと思った」
「時には刺身も食いたくなるぞ。野菜を食わんからビタミンが不足するんだ」
「そしたら、今度、スムージーを作るよ。野菜少なめで牛乳の多いのを」
「そりゃあいい。オイオイ、見ろよ・・・」
 トラの目がパソコンの画像に釘付けになった。あたしも画像を見て目を疑った。

 リビングの座卓で、ヘビオがメグにア~ンなんて言いながら、箸でつまんだ野菜炒めをメグの口へ運んでる。メグはうれしそうに、口を開けて野菜炒めが口へ入るのを待ってる。
 野菜炒めがメグの口に入ると、今度はメグがヘビオにア~ンなんてやってる。
「なんだ、こりゃあ!見てらんねえぞ!ナア、トラ!どう思う?」

「そのお・・・、なんと言うか・・・。まあ、アツアツの時期でもあるし ・・・。
 オオッ、そろそろ鮭が焼けるぞ!」
 トラが返答にこまって話をはぐらかしてる。まあいいさ。寝技の後までじっくり観察しよう。画像を見れなくても音声は聞ける。
 あたしはキッチンへ行き、オーブンを開けた。いい具合に鮭が焼けている。

「あたしたちも、晩飯にしよう・・・。ナア、トラ。晩飯にしよう・・・」
 呼んでも返事がない。トラはパソコンの画像に釘づけだ。何に見入っているのか近寄って見ると、なんとメグがヘビオとひっついているではないか!

 晩飯はどうした?飯の最中に、チュウチュウ、ナデナデ、スリスリかよ!
 ウオッ、ヘビオのジーンズが宙へ飛んだ!今度はメグのパンティーとヘビオのパンツが舞った!ウワッ、見てらんない・・・。
 だけど・・・、ああ、チュウチュウ、ナデナデ、スリスリ、クチュクチュしてる・・・。

「凄まじい熱情ぞね・・・。
 なあ、サナ。そんなに興奮せんと、これからを良く見ときなさい」
「はい、賢者様。あたしは観察します・・・」
 あたしはソファーに座り、目を皿のようにして、ふたりの夕食場面をのぞき見した。

 結局、ふたりは夕食でニャンニャンしてしまい、しばしグッタリしている。
 サア、このあとどうなる?トラが言うように、いっきに冷めるヘビオか?あるいはメグを慈しむヘビオか?サア、どっちだ?

 なんとっ!ヘビオがタオルを持って洗面所へ行った!
 もどったベビオの手には濡れタオルだあ。
 メグの身体を濡れタオルで拭いてパンティをはかせたぞ!
 自分の身体も拭いてパンツをはいた!
 アッ!ヘビオがメグをお姫様ダッコした!ベッドに運んでる!
 ベッドに寝かせてもらったメグが、チュウしてとせがんでいる。
 うおっ!チュウの嵐だ!
 メグが、ナデナデ、スリスリをせがんでる。クチュクチュをせがんでる!
 ヘビオが、メグに言い聞かせてる。食事のあとかたづけをしてもどると・・・。
 ヘビオがチュウして、メグのあとかたづけをはじめたぁ・・・。

 また、ヘビオがメグにひっついた!
 チュウチュウだあ!
 パンティーが舞い、パンツが飛んだ!
 おっと、ナデナデ、スリスリ!
 クチュクチュ・・・。

「アホかい!サナ、プロレスの実況中継ではないぞ!」
「だってこうでもしてないと、見てらんないよ・・・」
 とは言うものの、そんなことをしなくても見ていられた。メグから、一応のことを聞いていたからだ・・・。

 そして・・・、寝技が終った。
 終ってもなんてことはなかった。メグはヘビオから、大切に扱われていた。
 あたしはヘビオの思いから、メグがどうしてそこまで大切にされるのか、理由を知った。

 メグの身体の機能が理由の一つだった。くわしいことを言うといろいろ問題があるので、このことは、トラの口も封じておこう。とは言うものの、思いは口封じはできないな。
「まあ、そりゃあ、そうだ・・・。そういうことも、大いにあるぞね」
 あたしの思いに、トラは納得してる。

 そして、もう一つの理由が、メグの頭ん中と実家だ。
 ヘビオは、実家の家業を嫌っているメグと、実家に興味があるのだ。
 妙な男だと思った。コイツ二十歳だ。これから、中華の料理人になる気でいる。メグに話せば反対されるから、言いだせずにいる。

 ヘビオの思いはこうだ。
 大好きなメグがいて毎晩ニャンニャンできて、うまい料理が食えて、自分でも料理できて、自分の作った料理を、メグにも家族にも客にも「うまい」と言って食ってもらえたら、こんなに楽しいことはない、ヘビオはそう思っていた。
 そのことをヘビオはメグに言いだせない。メグが実家の家業を嫌っているからだ。だけど、家業を嫌っているメグは、なぜ、料理がうまいのだろう?
 なんでも、手際よく料理するメグは、天才と言える技術の持主だ。学ぶことがたくさんある。ニャンニャンにも学ぶことがたくさんある・・・。

「ねえ、トラ。メグがヘビオにお熱だと思ってたけど、逆だったんだね」
 あたしはトラを見つめた。トラはパソコンの画像を見たままだ。

 メグのスマホは自撮りになったまままだ。自撮りにしなくてもこちらから操作できるが、スマホの向きは変えられない。今はヘビオがふたりを撮れるようにスマホの位置を調節したため、ふたりの行動が丸見えだ。

「わしも、思い違いをしとったぞ。コイツ見た目より、マジメじゃな。
 コイツの方がメグのトリコじゃったか。そんなに良きニャンニャンか・・・」
「トラ!ナニ考えてるの?」
 あたしはトラの思いをのぞき見した。のぞき見しなくても、トラの思いはあたしに筒抜けている。

「いや、そのなあ・・・、まあ、いろいろあるでな・・・」
「ああっ!隠し事してる・・・。ふむふむ、そういうことか・・・。なるほどね。体型からニャンニャンの具合がわかるんだあ・・・。
 ほひょおっ!あたしも、具合がいいんだ!そうだろう。そうだろう・・・」
 あたしは、ひとりナデナデ、スリスリを思いだして、トラの観察眼を納得した。

「これ、何を考えておる。晩飯にしてくれんか?食うのを忘れておった・・・・」
 おっといけない。焼いた鮭がすっかり冷めちまったぞ。
「一度チンして、ご飯にのせるよ。待ってな・・・」
 あたしはソファーから立った。

「トラ。ご飯だよ」
 あたしはダイニングキッチンにトラを呼んだ。フロアのトラの定位置、シンクの下の床に、ご飯と鮭を入れた小鉢を置いた。あたしのはキッチンテーブルの上にある。
「こうして見てるといつものトラだね」
 あたしはご飯を食ってるトラに言った。

「そうでもないぞ。ちいっとは、進化したぞ・・・」
 ご飯を食べながら、トラがゴロゴロ喉を鳴らすように言った。
「エエッ!ほんとかよ??」
 スマホの画面ではない。トラがしゃべってる!

「ほんとだ。ナニしてる?サナは食わんのか?なら、わしが・・・」
 小鉢のご飯を食うと、トラがヒラリとキッチンテーブルに舞いあがった。跳びあがったではない。まさに舞いあがったのだ。
 あたしは一瞬に鮭の皿とご飯の茶碗を取って持ちあげた。トラにトラレテなるものか!

「ほほう、ダジャレたな。飯を食わぬなら、わしに食わせろ!」
 トラが尻尾をあげて、あたしにすり寄ってきた。
「そんなに鮭が好きか?」
「ああ、大好きだ!」
「そしたら、トラにあげるよ・・・」
 あたしは、キッチンテーブルに上がっているトラの前に、フロアにあるトラの小鉢を置いて、鮭とご飯を入れた。

「すまんなあ。わしはこれに目がないんじゃよ・・・。
 サナ、カップ麺でも食ってくれんか?」
「ああ、わかってる・・・」
 あたしは手鍋に水を入れてヒーターに置き、鮭ご飯を食ってるトラを見つめた。
「なあ、トラ。あのヘビオ。けっこうまじめだぞ。
 いっそのこと、メグとヘビオをくっつけちゃおうか。
 それで、実家を継がせて、あたしとトラは、メグに会いに行って中華を食べる・・・」

 トラが顔をあげた。
「そんなにかんたんに、ことが進むはずがなかろう?」
 そう言って、また小鉢に顔を突っこんでいる。
「なに言ってんの?トラが話すようになるような奇跡が起きてるんだよ。
 それ以上に簡単なことだよ!」

 トラがまた顔をあげた。
「わしとヘビオをいっしょにするな」
「どこがどうちがうの?トラは、違いがわかってるの?
 それなら、このアプリのことも、わかってたんだね?」
「わしは、知らんぞ。本当だ。
 だがな・・・」
「だが、なんなの?」
「そのな・・・、なんというか・・・」
 トラが言い淀んで小鉢に顔を突っこんだ。
 そんなことをしたって、あたしの追求からは逃れらんないぞ!

「鍋の湯が沸いとるぞ・・・」
「ああ、わかった・・・」
 あたしはヒーターのスイッチを切って、壁の収納戸棚からカップ麺を取りだした。フタを開けると、トラがじっとカップ麺の中を見ている。ああ、ここにもフリーズドライだが鮭がある。
「なあ、トラ。あたしの焼き鮭まで食ったんだ。これ以上食ったら、メタボだぞ」
「わかっとる。わかっとるが、そのお・・・」
「ほら、湯を入れる前だ。噛まずにしゃぶってるんだぞ・・・」
 あたしは鮭のフリーズドライを指でつまんで小鉢に入れた。
「すまぬなあ・・・。ベビオの思いを・・・それとなく・・・・メグに伝える・・・ことしかなかろうて・・・」
 トラは鮭をしゃぶりながら言うのでよく聞きとれない。

 あたしはカップ麺に湯を注ぎフタをした。
 やっぱ、ヘビオに会って、ヘビオに気持ちをメグに伝えさせるのがいちばんだな・・・。
「いかん!それはいかん!サナに会えば、ベビオが目移りする!」
 トラがあたしを見あげてる。
「何で!?メグに夢中のヘビオだぞ。中華の料理人になりたいヘビオだぞ!?」
「それはそれでイイのじゃが・・・・」
「なんだよ?」
 トラがあたしのお尻へ視線を動かした。
 腰がくびれてチョッピリ大きめのお尻と長い脚は、自分でも自慢だ。
「ヘビオがあたしの体型からいろいろ想像するってか?あたしに目移りするってか?ベビオはメグと現在進行形だぞ!」

「そこぞね。会えば、そういうことぞ・・・」
『ほひょおっ!あたしも、具合がいいんだ!そうだろう。そうだろう』なんてさっき思ったけど、ヘビオって大変なヤツなんだな・・・。
「ヘビオって、そんなに節度がないんか?」
「そうじゃ。ヤツの考えは、その場その場で事実じゃよ。
 メグとともに居るときは、メグ様命じゃ。
 サナだけに会っとれば、サナ様命じゃ。
 だからとて、メグを忘れたわけではない。
 メグに会えばメグ様命じゃ。しまつが悪い・・・」
「それって、猿山のボス猿の思考だよ。ヘビオのあたまん中は、ボス猿の脳味噌か?」

「なあ、サナ・・・」
「なに?トラにいい考えがあるの?」
「そのお・・・、三分が過ぎおったぞ」
「忘れてた・・・。なんてことだ!お(つゆ)がなくなってる・・・・」
 時間がたちすぎてた。麺がすっかりお湯を吸って、完全にふやけ状態だ。
「むむむっ・・・・」
 閃いた!
 あたしはシンクの下の戸棚から、カレー皿を取りだし、その中にふやけたカップ麺を入れた。

「どうした?食わんのか?」
「まあ、見てなって・・・」
 カレー皿の麺にウスターソースをちょいとかけて・・・、よく混ぜあわせて・・・。
「ほい。できあがり。トラ。食ってみっか?」
「わしが味見するんか?」
 毒味でもするように、トラがあたしを見ている。
「嫌なら、食わなくっていい。あたしがぜんぶ食うから」
「そう言うな。食えばいいんじゃろ」
 やけくそで言うなら、トラになんか食わせないぞ。これ、ぜったいにうまいはすだ。
「なんだよ。あたしがぜんぶ食うぞ」

「そう言うな。食います。食わせてください」
「よし、食わせてやる・・・」
 トラの小鉢に箸でひとすくいの麺を入れ、残りを食べはじめた。やっぱり、思ったとおりだ。けっこういける。簡易の焼きそばだ。
「うまいぞ!」
 トラも驚いている。
「なるほど。〇〇ングの焼きそばとおなじっちゅうことか・・・・」
 ひとりごとを言いながら食ってる。猫賢者も〇〇ングの焼きそばを知ってたとは驚きだ。

「なあ、トラ。いい考えは、ナインカ?」
 イントネーションが、どこかのコマーシャルで聞いた言い方、そこに愛は、あるんか?なんてのに似てる。トラと話してると、なんだか奇妙な世界にいる気がしてきたぞ・・・。
「ヘビオの実態を見せて、メグを納得させるしか、ありゃあせんのう・・・。
 コウ、ナンチュウカ・・・。サナのようなかわいいのを並べおって・・・」
 トラが小鉢から顔をあげて、妙な手つきで人形でも並べるような仕草をした。
 スマホを通してないのにトラの考えてることはあたしに筒抜けだ。ヘビオ好みの娘を並べ、ヘビオがどう反応するか、メグに観察させる気なのだ。そして、トラ自体が、目の保養じゃなどと考えてる。
 コイツ、猫よりかわいい娘に興味があるのか?

「トラ。隣のシロより、あたしの方がかわいいか?」
 あたしは、この春、トラがのぼせていた隣の猫の名をあげて、トラの思いを問いただしてやった。
「そりゃあ、サナの方がかわいいのお。シロもかわいいが、サナは別格ぞね」
「思ってることが見え見えだよ。シロからは、ご飯も住み家も手に入らないからね。
 だけど、それだけじゃないね。トラ。いつから、好みが人並みになったん?」
 あたしはカップ麺を食べながらトラを見た。
「あのアプリの画像を見てからか・・・」
 トラは麺を食い終えて、顔を手でなでている。

「ふーん。あのアプリ、トラを猫賢者にしたんか・・・。あたしを賢者にしないかなあ・・・」
「そりゃあ、無理じゃ。サナはすでに人であるゆえ・・・」
「なんだ、それ?なにか、知ってるんか?」
 あたしは麺を食べ終えてトラを見た。アプリを使うようになってから、トラにご飯を横取りされているような気がする。トラは人並みになってきたんだろうか・・・。
「まあ、そういうこっちゃ。いろいろ頭脳労働すると、腹が減るぞ・・・」
「そんなに頭、使ってないよ・・・。使ってれば、もっとまともなアイデアが浮ぶだろうに・・・」
 あたしは使った皿とトラの小鉢、カップ麺の容器をシンクへ入れた。

 リビングのソファーへ移動しするとトラがソファーへ歩きながら言う。
「かわいい娘を並べてヘビオに見せることは、いけないか?」
「トラが見たいんじゃないの?」
 トラといっしょに、ソファーに座った。
「かわいい娘をヘビオに見せて、そのヘビオをメグに見せるんじゃ。わしはどうでもいいんじゃ。
 サナの親しい娘たちに、かわいいのはおらんか?同じ科におらんのか?」
「ウーン・・・。ちょっと待って・・・」
 あたしはソファーテーブルのパソコンの画像を見た。メグたちは・・・、寝たのか。メグはヘビオと静かに眠っている。
「探してみるよ・・・」
 あたしはスマホのメモリーの画像から、親しい者たちの画像をトラに見せた。

「ほほおう。みな、かわいいのおう。えらぶなら・・・、この三人かのう」
 トラは、メグに似た体型の三人を選んだ。
「顔は関係しない?」
「そうでもないぞ。ヘビオの感性は、容姿全体から判断しとるんじゃ。
 極端なことを言えば、かわいくくびれた腰と、形のいい大きめな尻の、かわいい娘じゃな・・・・」
 トラがあたしの腰と尻を見ている。そんなにしても、ソファーに座ったあたしのお尻は見えないぞ・・・。
「そしたら、アキとエッちゃんとママか・・・。明日話してみるよ・・・」
 瀬田亜紀と松岡悦子と野本雅子だ。三人とも、うしろから見たら、メグに似ている。
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