六 ご対面
文字数 3,892文字
水曜の四限。音楽史。
大講義室は大きな階段教室だ、十人掛けの椅子の列が縦方向に二十脚並び、それら椅子の列が左から右まで五列ある。
教壇を見る方向の階段教室左側後部の机に、左からあたし、メグ、ヘビオが座っている。あたしたちの前の席は一列空いて、その前のにアキとエッちゃんとママが座り、その前にアキとエッちゃんとママと親しい三人の女子学生が座っている。ヘビオのまわりは八人の女子学生たちだけだ。
「サナ。ヘビオはどこ見てる?ヘビオを監視しろ」
左側に置いたリュックから、トラが顔を出して、あたしにささやいた。
あたしとメグがじゃまして、トラにヘビオの顔は見えない。メグの影になっているヘビオは、あたしにも見えない。
「わかってる・・・」
あたしは背中を反らせ、顔を右へ向けて、メグの背中越しにヘビオを見た。
ヘビオは講義を聴くふりして、アキとエッちゃんとママを見て、その前の席にいる三人の女子学生を見ている。顔は教壇にむいているが、目はじっと前の席にいる女たちを見たままだ。
その様子にメグは気づいていないらしいが、あたしにはヘビオの目の動きがはっきりわかるからふしぎだ。
何度か女たちを見たヘビオの目が止まった。ヘビオが見ているのはエッちゃんだ。
メグは、ヘビオが隣りにいるから、どこへも行かないと安心しきっている。
確かに、ヘビオはどこにも行けない。それはヘビオの身体だけだ。ヘビオの意識も心も、今、ここにあらず。さっきまでは、六人の女たちのまわりを徘徊していたが、今はエッちゃんのそばにしっかり居座っている。メグはそんなヘビオの思いを知らない。ヘビオがいつまでも、『メグ様、命』だと思っている。
あたしは、ヘビオとメグから感じたことをトラにささやこうとした。すると、トラが、
「シッー。サナが感じたことを、わしは理解しとる。監視をつづけるのじゃ」
とささやいてメグの方を目配せした。メグを見ると、メグの中から何かが現れようとしていた。
ウワッ!なんだ、コレ!
メグはヘビオとのイチャイチャとニャンニャンを思い、その思いが脳内麻薬・ドーパミンとエンドルフィンを身体に放出し、気持ちが高揚してラブラブだ。身体が芯から熱くなって芯から湧きだしはじめてる。バカバカ!こんなとこでそんなことを考えちゃダメ!
そんなメグの思いをよそに、ヘビオはエッちゃんとのニャンニャンを思って興奮しはじめてる。こういうことは想像力の巧みなヘビオだ。
これだけの想像力を勉学に活かせば、それなりの成果は得られるのに、勉学にいそしまないヘビオの成績は芳しくないとメグから聞いている。
ヘビオの所属は理工学部の建築科だ。ヘビオの顔からは、建築設計で使う材料力学に必要な、高等数学や物理学ができるとは思えない。ヘビオがなりたいと思っている中華の料理人も、メグの実家が中華料理店を経営しているからであり、メグの実家が建築会社なら建築の勉学に励むのではなかろうか・・・。
そう思っていたら、ヘビオはエッちゃんの実家が何をしてるか、勝手に想像しはじめた。そして、実家が商売してるなら、エッちゃんとラブラブになって、実家の商売に合わせてそれなりのことをしようとである。
なんだ!コイツ、みさかいなく発情して、エッちゃんの実家に居座ろうとしてるぞ!
ヘビオがメグにベタボレだと思ってたけど、トラがメグを心配したとおりだった!
『トラ!このバカをなんとかトッチメル方法はないか?』
あたしは声にださずに、トラに思いを馳せた。
『サナ。そんなことより、サナの感性はまさにボイスチェンジャーアプリじゃな。
わしの感性も、サナと同じみたいじゃ。いったいどうしたものか・・・』
そうあたしに思いを伝えたトラが、ボイスチェンジャーアプリから受けた、トラとあたしの感性の変化を確認してる。
トラはいろいろ考えながら、新たに備わった能力を説明した。
『どうやら、わしらの脳に、ボイスチェンジャーアプリが組み込まれたっちゅうことぞ。
悪いことでないぞ。アプリを使うときのように、機能選択ができるみたいぞね。
今のところ使えるのは、サナとわしのあいだの双方向ホイスチェンジと、第三者の相手方ボイスチェンジだけのようじゃ・・・」
『メグに、ヘビオの思いをそのまま伝えられたらいいのになあ・・・』
『サナ。今、サナが行なったのは、相手方ボイスチェンジじゃぞ!』
『そうだよ・・・』
『相手方ボイスチェンジでヘビオをスマホで映し、それをわしに見せたのと同じっちゅうことぞ!』
『そうだよ・・・』
そう答えたものの、トラの説明をあたしは理解してなかった。
『そしたら、ヘビオの心の変化をメグに伝えられるぞ!』
『何で?どうしてそんなことができるん?』
『わしらの脳に、ボイスチェンジャーアプリが組み込まれた、と教えただろうに!』
トラがあたしに、イラッとしているのがわかる。だけど、トラが何をいいたいのかわからない・・・。
『だから、どういうことなん?』
『アホか!オマエ!わしらがボイスチェンジャーのアプリその物になっとる!』
トラがキレタぞ!イヤ、これは見せかけだ。トラの説明が悪い。もっと早くあたしらがアプリそのものといえばいいのに・・・。
『アアアッ!そういうことか・・・・』
そうはわかっても、スマホで相手方ボイスチェンジし、ヘビオの思いを知ることはできるが、その思いをどうやってメグに伝えていいかわからない・・・。
『何をいっとるんだ?サナはわしに、ヘビオの思いを伝えおったぞ!
メグにも、同じことをしてやれ!さすれば、メグは、ヘビオの思いをライブで聞くぞね!』
オオ、そういうことか!
『わかった!すぐやる!即やる!』
あたしはもう一度ヘビオを見て、エッちゃんへのヘビオの思いを確かめて記憶し、メグの全身に、あたしの気持ちをむけて、ヘビオの思いを解き放った。
《エッちゃんは腰がくびれてお尻が大きめで、かわいいスタイルをしてる。ポッチャリしたエッちゃんとのニャンニャンを思うと興奮する。
エッちゃんの実家が何をしてるんだろう?実家が商売してるんなら、エッちゃんとラブラブになって、実家の商売に合わせてそれなりのことをしよう・・・》
あたしが、ヘビオを相手方ボイスチェンジしてメグに伝えたヘビオの思いを、トラがメグに捕捉説明する。
『ヘビオは自分の心を満たすため、その場その場の考えだけで生きておる・・・。
その場その場の考えにウソはない。
ヘビオは女を体型と身体の機能で選んでおる・・・』
メグの気持ちが一瞬に醒めた。今まで積みあげてきた熱い気持ちがすっうと引き、身体も冷めてゆく・・・。
ヘビオとのイチャイチャとニャンニャンの思いが放出していた脳内麻薬・ドーパミンとエンドルフィンは消えて、メグの高揚したラブラブな気持ちも消えた。身体の熱さは消え、芯からの湧きだしは冷たくなりはじめた・・・。
メグの中で、カチッと何かが切り換った。メグがイラッとした。
教壇を見ながらベビオとのニャンニャンを思いだしていたメグが、エッちゃんを見て、気持ちをヘビオへむけた・・・・。
メグは思ってる・・・。
ヘビオ。オマエは、あたしにベタボレだ。
あたしといっしょになったら、実家の家業を継ぐようなことを思ってた。
大好きなあたしと毎晩ニャンニャンして、あたしが作るおいしい料理を食べる。
オマエも料理をおぼえて、オマエの作った料理を、あたしにも家族にも客にも「うまい」といって食べてもらう。
そしたら、オマエとの楽しい生活がつづく。
オマエがいるなら、嫌いな実家でもふたりで生活できる。
キライな中華料理も、ふたりで仲良く作れそうだ・・・。
あたしは勝手にそう思ってた。
オマエの気持ちを確かめずに勝手にそう思ってた。
あたしはオマエの気持ちを聞いたことがない。
あたしもあたしの気持ちをお前に話したことはない。
オマエは、あたしとのことをあたしに話したことはない。
あたしがわかってるのは、オマエがあたしを好きなことだけだ。
あたしもオマエが好きだ。
オマエはあたしを好きだ。
オマエはあたしとニャンニャンするのが好きだ。
あたしもオマエとのニャンニャンが好きだ。
ふたりが好きだったんは、ニャンニャンか・・・。
オマエ、あたしが家業を嫌ってるのに、中華料理を作るのがうまいのを知ってる。
なんでも手際よく料理するあたしを『見よう見まねで憶えたんなら、天才と言える技術の持主だ』と絶賛した。
あの言葉、お世辞じゃなかった。
あの言葉で、あたしは家業を継ぐ気になった。
くそ・・・。
オマエの気持ちがわかんないぞ・・・。
いや、わかってる。
オマエはあたしとのニャンニャンが好きだ。
あたしが天才的に料理がうまいのを認めてる。
オマエは実家の家業を継ぐ気でいる・・・。
メグはヘビオと暮らし、ふたりの思いを大切にしたかった。
あたしの中でアプリの相手方ボイスチェンジが起動した。メグの心に浮ぶ未来に関する相手方ボイスチェンジだ・・・。
メグの心に、未来が映った。
家業に勤しむメグとヘビオ。ふたりはラブラブだ。
その裏で、ヘビオは知りあいの女や中華街の女とニャンニャンに勤しんでいる。
ヘビオの相手はみんな似ている。
その女たちのひとりが、エッちゃんの姿と重なった。
メグが気づいた。
そうか!ヘビオは容姿で女を選んでるんだ・・・。
性格は二の次なんだ・・・。
『サナ。うまくいったな。気づきおったぞ』
トラがあたしに、相手方ボイスチェンジしたヘビオの心の実態をメグが理解した、と伝えてきた。
大講義室は大きな階段教室だ、十人掛けの椅子の列が縦方向に二十脚並び、それら椅子の列が左から右まで五列ある。
教壇を見る方向の階段教室左側後部の机に、左からあたし、メグ、ヘビオが座っている。あたしたちの前の席は一列空いて、その前のにアキとエッちゃんとママが座り、その前にアキとエッちゃんとママと親しい三人の女子学生が座っている。ヘビオのまわりは八人の女子学生たちだけだ。
「サナ。ヘビオはどこ見てる?ヘビオを監視しろ」
左側に置いたリュックから、トラが顔を出して、あたしにささやいた。
あたしとメグがじゃまして、トラにヘビオの顔は見えない。メグの影になっているヘビオは、あたしにも見えない。
「わかってる・・・」
あたしは背中を反らせ、顔を右へ向けて、メグの背中越しにヘビオを見た。
ヘビオは講義を聴くふりして、アキとエッちゃんとママを見て、その前の席にいる三人の女子学生を見ている。顔は教壇にむいているが、目はじっと前の席にいる女たちを見たままだ。
その様子にメグは気づいていないらしいが、あたしにはヘビオの目の動きがはっきりわかるからふしぎだ。
何度か女たちを見たヘビオの目が止まった。ヘビオが見ているのはエッちゃんだ。
メグは、ヘビオが隣りにいるから、どこへも行かないと安心しきっている。
確かに、ヘビオはどこにも行けない。それはヘビオの身体だけだ。ヘビオの意識も心も、今、ここにあらず。さっきまでは、六人の女たちのまわりを徘徊していたが、今はエッちゃんのそばにしっかり居座っている。メグはそんなヘビオの思いを知らない。ヘビオがいつまでも、『メグ様、命』だと思っている。
あたしは、ヘビオとメグから感じたことをトラにささやこうとした。すると、トラが、
「シッー。サナが感じたことを、わしは理解しとる。監視をつづけるのじゃ」
とささやいてメグの方を目配せした。メグを見ると、メグの中から何かが現れようとしていた。
ウワッ!なんだ、コレ!
メグはヘビオとのイチャイチャとニャンニャンを思い、その思いが脳内麻薬・ドーパミンとエンドルフィンを身体に放出し、気持ちが高揚してラブラブだ。身体が芯から熱くなって芯から湧きだしはじめてる。バカバカ!こんなとこでそんなことを考えちゃダメ!
そんなメグの思いをよそに、ヘビオはエッちゃんとのニャンニャンを思って興奮しはじめてる。こういうことは想像力の巧みなヘビオだ。
これだけの想像力を勉学に活かせば、それなりの成果は得られるのに、勉学にいそしまないヘビオの成績は芳しくないとメグから聞いている。
ヘビオの所属は理工学部の建築科だ。ヘビオの顔からは、建築設計で使う材料力学に必要な、高等数学や物理学ができるとは思えない。ヘビオがなりたいと思っている中華の料理人も、メグの実家が中華料理店を経営しているからであり、メグの実家が建築会社なら建築の勉学に励むのではなかろうか・・・。
そう思っていたら、ヘビオはエッちゃんの実家が何をしてるか、勝手に想像しはじめた。そして、実家が商売してるなら、エッちゃんとラブラブになって、実家の商売に合わせてそれなりのことをしようとである。
なんだ!コイツ、みさかいなく発情して、エッちゃんの実家に居座ろうとしてるぞ!
ヘビオがメグにベタボレだと思ってたけど、トラがメグを心配したとおりだった!
『トラ!このバカをなんとかトッチメル方法はないか?』
あたしは声にださずに、トラに思いを馳せた。
『サナ。そんなことより、サナの感性はまさにボイスチェンジャーアプリじゃな。
わしの感性も、サナと同じみたいじゃ。いったいどうしたものか・・・』
そうあたしに思いを伝えたトラが、ボイスチェンジャーアプリから受けた、トラとあたしの感性の変化を確認してる。
トラはいろいろ考えながら、新たに備わった能力を説明した。
『どうやら、わしらの脳に、ボイスチェンジャーアプリが組み込まれたっちゅうことぞ。
悪いことでないぞ。アプリを使うときのように、機能選択ができるみたいぞね。
今のところ使えるのは、サナとわしのあいだの双方向ホイスチェンジと、第三者の相手方ボイスチェンジだけのようじゃ・・・」
『メグに、ヘビオの思いをそのまま伝えられたらいいのになあ・・・』
『サナ。今、サナが行なったのは、相手方ボイスチェンジじゃぞ!』
『そうだよ・・・』
『相手方ボイスチェンジでヘビオをスマホで映し、それをわしに見せたのと同じっちゅうことぞ!』
『そうだよ・・・』
そう答えたものの、トラの説明をあたしは理解してなかった。
『そしたら、ヘビオの心の変化をメグに伝えられるぞ!』
『何で?どうしてそんなことができるん?』
『わしらの脳に、ボイスチェンジャーアプリが組み込まれた、と教えただろうに!』
トラがあたしに、イラッとしているのがわかる。だけど、トラが何をいいたいのかわからない・・・。
『だから、どういうことなん?』
『アホか!オマエ!わしらがボイスチェンジャーのアプリその物になっとる!』
トラがキレタぞ!イヤ、これは見せかけだ。トラの説明が悪い。もっと早くあたしらがアプリそのものといえばいいのに・・・。
『アアアッ!そういうことか・・・・』
そうはわかっても、スマホで相手方ボイスチェンジし、ヘビオの思いを知ることはできるが、その思いをどうやってメグに伝えていいかわからない・・・。
『何をいっとるんだ?サナはわしに、ヘビオの思いを伝えおったぞ!
メグにも、同じことをしてやれ!さすれば、メグは、ヘビオの思いをライブで聞くぞね!』
オオ、そういうことか!
『わかった!すぐやる!即やる!』
あたしはもう一度ヘビオを見て、エッちゃんへのヘビオの思いを確かめて記憶し、メグの全身に、あたしの気持ちをむけて、ヘビオの思いを解き放った。
《エッちゃんは腰がくびれてお尻が大きめで、かわいいスタイルをしてる。ポッチャリしたエッちゃんとのニャンニャンを思うと興奮する。
エッちゃんの実家が何をしてるんだろう?実家が商売してるんなら、エッちゃんとラブラブになって、実家の商売に合わせてそれなりのことをしよう・・・》
あたしが、ヘビオを相手方ボイスチェンジしてメグに伝えたヘビオの思いを、トラがメグに捕捉説明する。
『ヘビオは自分の心を満たすため、その場その場の考えだけで生きておる・・・。
その場その場の考えにウソはない。
ヘビオは女を体型と身体の機能で選んでおる・・・』
メグの気持ちが一瞬に醒めた。今まで積みあげてきた熱い気持ちがすっうと引き、身体も冷めてゆく・・・。
ヘビオとのイチャイチャとニャンニャンの思いが放出していた脳内麻薬・ドーパミンとエンドルフィンは消えて、メグの高揚したラブラブな気持ちも消えた。身体の熱さは消え、芯からの湧きだしは冷たくなりはじめた・・・。
メグの中で、カチッと何かが切り換った。メグがイラッとした。
教壇を見ながらベビオとのニャンニャンを思いだしていたメグが、エッちゃんを見て、気持ちをヘビオへむけた・・・・。
メグは思ってる・・・。
ヘビオ。オマエは、あたしにベタボレだ。
あたしといっしょになったら、実家の家業を継ぐようなことを思ってた。
大好きなあたしと毎晩ニャンニャンして、あたしが作るおいしい料理を食べる。
オマエも料理をおぼえて、オマエの作った料理を、あたしにも家族にも客にも「うまい」といって食べてもらう。
そしたら、オマエとの楽しい生活がつづく。
オマエがいるなら、嫌いな実家でもふたりで生活できる。
キライな中華料理も、ふたりで仲良く作れそうだ・・・。
あたしは勝手にそう思ってた。
オマエの気持ちを確かめずに勝手にそう思ってた。
あたしはオマエの気持ちを聞いたことがない。
あたしもあたしの気持ちをお前に話したことはない。
オマエは、あたしとのことをあたしに話したことはない。
あたしがわかってるのは、オマエがあたしを好きなことだけだ。
あたしもオマエが好きだ。
オマエはあたしを好きだ。
オマエはあたしとニャンニャンするのが好きだ。
あたしもオマエとのニャンニャンが好きだ。
ふたりが好きだったんは、ニャンニャンか・・・。
オマエ、あたしが家業を嫌ってるのに、中華料理を作るのがうまいのを知ってる。
なんでも手際よく料理するあたしを『見よう見まねで憶えたんなら、天才と言える技術の持主だ』と絶賛した。
あの言葉、お世辞じゃなかった。
あの言葉で、あたしは家業を継ぐ気になった。
くそ・・・。
オマエの気持ちがわかんないぞ・・・。
いや、わかってる。
オマエはあたしとのニャンニャンが好きだ。
あたしが天才的に料理がうまいのを認めてる。
オマエは実家の家業を継ぐ気でいる・・・。
メグはヘビオと暮らし、ふたりの思いを大切にしたかった。
あたしの中でアプリの相手方ボイスチェンジが起動した。メグの心に浮ぶ未来に関する相手方ボイスチェンジだ・・・。
メグの心に、未来が映った。
家業に勤しむメグとヘビオ。ふたりはラブラブだ。
その裏で、ヘビオは知りあいの女や中華街の女とニャンニャンに勤しんでいる。
ヘビオの相手はみんな似ている。
その女たちのひとりが、エッちゃんの姿と重なった。
メグが気づいた。
そうか!ヘビオは容姿で女を選んでるんだ・・・。
性格は二の次なんだ・・・。
『サナ。うまくいったな。気づきおったぞ』
トラがあたしに、相手方ボイスチェンジしたヘビオの心の実態をメグが理解した、と伝えてきた。