第9話 オイラと猫吸い

文字数 451文字

腹に顔をうずめ、すーっとオイラの匂いを嗅ぐご主人。
疲れた顔で帰ってきたと思うと真顔のままオイラの腹に顔をうずめる。
かれこれ30分はこの状態である。
「そろそろやめろー!」
寛大なオイラでもさすがに我慢の限界である。ジタバタとご主人から逃れると大急ぎで逃げた。
オイラに逃げられたご主人は、「あー、ボクのモフモフタイムが…。」なんておかしなことを言っている。
ソファでのんびりと寝ていたら突然匂いを吸われるオイラの気持ちになってみろってんだ。
全く…と言いながら、ご主人によって乱された毛並みを整える。
ご主人は唐突に今日みたいにオイラの匂いを吸いに来ることがある。そういう時は大抵帰ってきた時の疲れ切った顔で察しが付く。
猫集会でこの事を話したら、他の猫たちも同じように吸われているらしい。
巷では”ネコスイ”と呼ばれているのだとか…。なぜニンゲンはオイラ達を吸うのかと聞いたら、オイラ達のお腹や後頭部はいい匂いがするらしい。
自分で匂いを嗅いでみても全くわからない。
ニンゲンは時々おかしなことをする。不思議な生き物だ。
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