第3話 オイラと雨

文字数 492文字

「今日は朝から雨が降っていますので…」
窓の外を大きな水の粒が落ちていく。ここ最近、ずっと外はこんな感じだ。
ご飯も食べ寝床でいつも通り毛づくろいをしていたオイラは、外から聞こえてくる水の音に耳を傾けた。
これは”アメ”と言うらしい。ご主人が「今日も雨か―。」と言っているのを聞いたことがある。
ご主人の方を見ると、アメのせいか少し憂鬱そうに見える。仕方がないので、ご主人のもとに行って「元気出せよ」とオイラの好きなおもちゃを持って行ってやった。
ご主人は「もう出かけるから帰ったら遊ぼうね。行ってきます。」と言って、オイラの頭を人撫でして出かけて行った。
せっかく持ってきたおもちゃを受け取ってもらえなかったのは残念だが、出ていくときに少しだけご主人が明るい顔になっていたから良しとしよう。
仕方がないのでこのおもちゃはオイラの寝床に持ち帰るとするか…。
全くご主人は本当に世話の焼けるニンゲンだ。

「ただいまー。」
玄関のドアが開き、ご主人が帰ってきた。
眠たいのを我慢して玄関まで行きご主人を出迎えた。「おかえり」
すっかりアメは止んだようだ。
ご主人の華麗なおもちゃさばきにオイラはいつも楽しんでいる。
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