■空を穿つ

文字数 403文字

 腐った果実のような香りがした。風に乗る香りは、顔も覚えたくない女共が近くに居ることを教えてくれる。
 黄色い声が階段の下から聞こえてきた。屋上汚しの常習犯だ。
 いつも通り奴らは屋上へ来る筈だろう。俺達が居ることを知らずに。
 標的がちらりとドア窓の端に見えた。もちろん、手にしているコンビニ袋はそのまま置いて帰るつもりなのだろう。よくなんとも思わずに居られるものだ。ある意味感心する。
 爽やかに吹き抜ける風も、後二秒程だろう。
 ぎいっと古臭い音を立てて屋上の扉が開いた。

「だろー⁉ って、え?」
「何々……え、なんでアンタ達がここにいんの?」
「うわ、マジ……?」
 
 こちらを見た瞬間、青褪める屋上汚しの常習犯達。奴らを一瞥してから、俺は声を上げた。

「こちら、生徒会執行部だ」



✁┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
■Twitter→@SRmafufu
■制作→2018/02/03
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み