■君はいないが、世界はまわる。

文字数 519文字

「ねえ、神様っているんだよ」
「うそつけ、いるはずない」

 小さい頃、君と交わした言葉、なぜか胸の奥からあふれ出した。途切れることなく湧き出る想いはきっと愛と後悔で、そんな想いを僕に抱かせた君はもうこの世界にはいない。
 どうしようもなく苦しくなって空を見上げた。
 君があの空の向こうに居るのだとしたら、僕は宙にでも飛べると思うし、君がこの地の下に居るのだとしたら、僕は赤い闇に溶けることも厭わない。
 でもそんなことをしても君は居ないと頭の中でわかってるから、心の中がむせ返る。

「なあ、君は最後に何を思ったんだろう」

 そんなことを考えてみても、君の心がここにあるわけもないから、分からないけど。
 きっと綺麗な言葉を浮かべたんだろうと、つたう頬の涙。
 もし神様なんかがいるとしたら、どうしてこの世界をつくったのと聞きたいなとか思った。どうして僕が生きていて、何をする為に生まれてきたのか。
 なんて、まだ分からないまま。
 きっとずっとたぶん僕は、神様に抗い続けるだろうけど、尚も君の居ないこの世界は、回ってる。



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■Twitter→@SRmafufu
■制作→2018/02/03
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