■扉

文字数 497文字

 貴方が行かなければならないこと、知っていましたよ。祖国の名誉の為に、種族の誇りの為に、その身を賭さなければならないことを。

 歩んで行く貴方は、凛々しく、とても晴れやかな顔で。私には、貴方を引き留めることができませんでした。

 指令が下れば赴く。
 それが貴方の使命でしたから。

 貴方が漸くこの地へ帰ってきた時には、涙が溢れて、どうしようもありませんでしたよ。

 長旅を終えた白い箱は、どこか輝いて見えたものです。
 それは、貴方が使命を果たした証でしたから。
 祖国の名誉の為に、種族の誇りの為に、戦った証。

 さて、昔話もこれくらいにしましょう。
 そろそろ、私も貴方の元にゆきます。

 お天道様に扉を開けてもらいますから。
 年老いても、きっと、気づいてくださいね。

 貴方がいなくなった後のこと、話すと長くなりますけれどね。
 そっぽを向かずに、相手をしてくださいね。

 貴方はおかしいと言うかもしれませんが、私はそちらにゆくのを楽しみにしているんですよ。



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■Twitter→@SRmafufu
■制作→2018/01/31
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