■侵食

文字数 405文字

 もういつだか忘れたが、なにか小さな黒色が、降り落ちてくるのを感じた。
 だけど、そこまで気にとめることもなく、ただなんとなく日々を過ごして。でも、きっとそれは間違いで。

 もうずっと甘んじてきたけど、その間にその黒は、知らぬ間に大きくなっていったんだ。

 私はその黒を捨てるとも拾うともせず、心の奥の隅にそっと置いて、割れ物を触るように扱った。

 時折ふと堪らなくなって、その黒を壁に投げつける時もあったけど、その黒は破片となるだけで。
 なんとも情けなく散らばった欠片は、箒で掃きやって、また隅に纏めた。

 気づけば隅に居るのは自分自身で、黒はそこまで迫っている。
 ああ、いつしかこれに押し潰されてしまうんだろう。
 きっと、そう近くないうちに。

――私の中で、何かが弾ける音がした。



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■Twitter→@SRmafufu
■制作→2018/01/31
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