第1話

文字数 870文字

男の喘ぎ声と汗の臭いが部屋中に広がっている。


軋むベッドの上では二人の男が絡み合っていた。



「なあ、たかひろ」



全裸で四つん這いにされている、大柄な男がもう一人の男に声をかけた。



「はあ、なんですか…」



たかひろと呼ばれる男は、大柄な男のペニスを扱く手を止め、ため息混じりに言った。



「後ろから挿れてもらうことはできないか、前を触るのは流石のお前でも嫌だと思うから…」



「はあ??堀木さん、ちょっとホントマジ勘弁してくださいよ、なんで僕が汚いおっさんの汚い尻の穴に入れないといけないんですか?

僕には可愛い奥さんのま**があるんですよ?

ホモバレしたあなたと違って。」



たかひろは心底嫌そうに顔をしかめて言った。


自分のペニスが堀木の肛門に挿入されるのを想像するのもおぞましい、といった様子だった。



「なあ、頼むよ、たかひろ…」



堀木と呼ばれる大柄な男は、上目遣いでたかひろにすがりつくように言った。



「なんだろう、豚の分際で人間の名前を気安く呼ぶの辞めてもらえませんか」



たかひろは堀木の髪を掴むと自分の硬く大きく反り返ったペニスを堀木の口内に強引にねじ込んだ。



「豚は黙ってしゃぶってろよ!!」



たかひろが激しく腰を動かすので、堀木の声にならない想いは涙と唾液となって流れていった。


たかひろは、うめき声をあげながらペニスを咥え、涙でぐしゃぐしゃになった堀木の顔を見て、興奮が絶頂に達し、射精した。


たかひろはベッドの背にもたれて煙草に火をつけた。


ゆっくりと煙を吐き出しながら、隣で咳き込んでいる堀木の背中を優しく撫でる。


たかひろの興奮は射精と同時にしぼんでいき、さっきまで硬く隆起していたペニスは、今は彼の股間に大人しく収まっている。


どうしていつもそうなってしまうのだろう?


たかひろはため息混じりに、ゆっくりと煙を吐き出した。


堀木との行為の後は、いつも、何とも言い難い嫌悪感と罪悪感に襲われる。


おいらは普通に女性が好きだし、同性である堀木さんの事はただの友人だと思っていた筈だ。


なのになぜ会うたびに堀木さんと抱き合っているのだろう。


一体、いつからそうなってしまったんだ…。


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