第10話

文字数 375文字


部屋に着くなり、たかひろの態度は豹変した。


堀木をベッドに突き飛ばすと、馬乗りになり首を締め上げた。


堀木よりも小柄で華奢な体つきをしているとは言え、人並みの成人男性の力のあるたかひろに、堀木は初めて恐怖を覚えた。


たかひろはなぜか堀木が苦しむ姿を見て、かなり興奮した様子だった。


もっと痛めつけたい、堀木を支配したい。


たかひろの堀木に対する思いは、もうそれしかなかった。


彼を歪ませたのは、紛れもなく堀木自身だった。


「冗談ですよう、まさか本当に殺ると思いましたか?」


たかひろは、堀木の首から両手をパッと離すと、子供のようにけらけらと笑った。


そして自ら服を脱ぎ、生まれたままの姿でこう言った。


「僕を愛しているというのなら、あなたも僕の全てを受け入れてくれますよね?」


堀木は愛する者のありのままの姿を目の当たりにし、むせ返りそうになりながら頷いた。


「ああ、勿論」

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み