第10話 あんことラムちゃん

文字数 667文字

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【前回までのあらすじ】
AI翻訳機によって話せるようになったあんこ(♂)。
自分の意思を人間に伝えられるけど、人間の言葉は分からない。
猫からの一方通行のコミュニケーションは人間界でどこまで通用するのか?
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「ダーリン、うちはお腹が空いてるっちゃ」

あんこは大きい方のヤツにご飯を催促している。

「早くするっちゃ!」

今日のあんこは「うる星やつら」の『ラムちゃんモード』だった。

「わかってるよ。待ってて、チャ」
ラムちゃんになりきれない大きい方が不器用に答える。


「ママ、あんこのラムちゃん、かわいいのかな?」
大きい方のヤツはママに言った。

「かわいいじゃない。ねーあんこ。」

「そうだっちゃ。うちはかわいいっちゃ。」
あんこは言った。


あんこは大きい方のヤツに要求した。
「ダーリン、うちをなでるっちゃ。」

大きい方のヤツが撫でるとあんこはすぐに飽きてきた。

「ダーリン、なにするっちゃ、もうあきたっちゃ。」
あんこは大きい方のヤツを噛んだ。

気分屋の猫がラムちゃんモードで話すとわがままさが際立つ。
大きい方のヤツはすっかり疲れてしまった。

「あたる君の気持ちがよくわかる。」
大きい方のヤツはママに言った。

「そうね。ラムちゃんが言うとかわいく聞こえるけど、あんこが言うとわがままな女子みたいね。」

「ラムちゃんをかわいく使うのは難しいんだよ。」

大きい方のヤツもママも『ラムちゃんモード』があまりかわいくないことに気付いたようだ。


「うちはもう眠いから寝るっちゃ。」
そう言ってあんこは猫ハウスに戻って行った。
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