ｅｘｉｓｔ１０

自分を解放する事で実は辛い事も増えたんです。
周りと衝突する事が増えたのでしょうか、強く反発される事が増えました。
自分を解放したからといって強くなった訳ではなく、思っている事を言葉にして
意見として言う事が出来ず、耐えるという感じになってしまっていたのです。
意見を言うって勇気がいるんです。
どうしても周りにどう思われるのか、否定されるのではないかという思いが勝ってしまう。
そう簡単には変われないものです。
そんな自分が自分自身を追いつめ、苦しめている事は理解しています。
「鈍感力を身につけなさい」母によく言われた言葉です。
言われるたびにそうなれたらどんなにか楽かと思っていました。
でも私はそうはなれません。
努力して身につけられるものではないから。
だから今は鈍感になれない自分を、敏感でアンテナを張りめぐらせている自分だからこそ
出来る事をと思っています。
与えられた今にはきっと理由があると思っています。

まだ話していませんでしたが、私は今の場所で働き始めた時に癌が発見されたんです。
これもきっと運命。そう思っています。
あの時発見できたからこそ私は今も生きています。
人は生きている限りいくつもの選択をする時が訪れます。
選択を間違い、道に迷ったり苦しんだりもします。
でも、それも自分にとって必要だからこその選択なのだと思います。
間違いだと思っていた選択も決断も、進んできた道も全て必要だからこそなのだと感じています。
癌を宣告された時、さすがに“死”を覚悟しました。
でも、それと同時に戦う覚悟もしました。
生きる事を諦める訳にはいかなかったから。
どうしてだか分からないけど不思議と絶望感はありませんでした。
自分には何が出来るのか、どのように時間を過ごしていくのかを考えていました。
何度も病院に通い、検査をし、先生とこれからの話をしていくうちに癌になった原因も
見つかりました。
可能性という事でしたが、ありがたい事に治療も簡単なものでその後は様子観察。
定期的に検査をして癌細胞が無くなったのは何度目の検査だったでしょうか。
先生からの「もう大丈夫」の言葉を聞けたのは発見から5年ほど経っていました。
私は生かされました。
今の場所で働く事を選んでいなければ、先生と出会わなければ私はこうして今という時間を
過ごすことは出来なかったでしょう。
『感謝』という言葉しかありません。
癌になった事にも感謝しています。
それは、またひとつ私の考え方を、感じ方を変えてくれたきっかけになったからです。
だから私は今も私の思いを曲げず生きています。
本当の強い者になる為に。