exist7

文字数 1,204文字

本当に彼らとは色んな所に行ったんです。
時には10人以上人が集まる事もありました。
それだけ一緒に居ても不思議と恋愛に発展しない。
よく男女の友情はないと言われますが、本当の友達というものは性別は関係ない事を
私は彼らに教えてもらいました。
もちろんその友情は今も続いています。
それぞれ大人になったので頻繁に会う事は出来ませんが、関係性は変わらないまま
続いいます。

「姉やん卒業旅行どうする?」
「やっぱり思い切って海外?」
「ちょっと俺調べてみるわ」
「どうせなら最後の贅沢しよっか」

結局行くことになったのは私を含めて3人。
初めての海外。
たいして英語も話せるわけでもなかったが、私達は2週間のアメリカ旅行を決めた。
有名な所を全てっていうくらいに楽しんだ。
見たことのなかった景色が目の前に広がっていた。
まわりを気にしたり、遠慮したり、人の目を気にしたりなんて事を忘れさせてくれる
そんな時間が流れていた。
卒業したら別々の道を歩き出す。
でも大丈夫だよって思わせてくれたそんな時間を過ごすことが出来たんです。
今でも彼らと一緒に見た景色は忘れられません。

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私達はそれぞれ就職し、結婚もしました。
もちろん私も結婚して子供にも恵まれました。
結婚するまでの道のりにも色んな事がありました。
もう恋愛はしないと思っていたのですが、ひとりでいる事の不安や誰かに側に居てほしいと
いう思いはどこかに残っていたのです。
後は当たり前の事なのかもしれませんが、親、私の場合は主に母の思いが苦しかったのです。
私は母の思うようには生きていけず、心配や苦労もいっぱいかけてしまったのだと思っています。
それでも私は早く、出来るだけ早く母から離れたいと思ってしまっていました。
そんな時、主人に出会ったんです。
お互いのタイミングが良かったのもあり、結婚を決めたのも早かったと思います。
とにかく優しい人です。
大恋愛でもなく、“この人でないと”なんていう思いがあったわけではありませんでした。
結婚式もある意味不思議な光景でした。
私の両親、親戚、友達はとっても笑っていたのに、主人の側は泣いていたのです。
主人の母は式の途中からずっと泣いていました。
結婚式当日、私が母から言われた言葉「これであなたの居場所がハッキリするね」
この言葉に母の思いが集約されていた気がします。
ひとつだけ心残りは、祖母が出席してくれなかった事です。
結婚にどうしても賛成出来ないと言い張り、出席はしてもらえませんでした。
後日2人で祖母の所に行き、写真を渡しました。
その時、祖母は泣きながら笑ってくれ「おめでとう」の言葉をくれました。

結婚が新たな私の別れ道になりました。




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