帝国歴885年 6月18日

文字数 494文字

 王宮にデザイナーのドレイルとその部下たちが押しかけてきた。使節団の歓迎会の件で皆忙しいと言うのに何事かと思った。男10人が険しい顔で私の元へ向かってきたのだから恐怖を感じた。そういえばドレイルから手紙が一日に何通もきていたような気がする。

 いまさら思い出しても仕方ないのだが、要件は私のデザインした服のブランドを作りたいとのことだった。ずっと無視していた提案だが、ドレイルを無視するとなると国際問題に発展しかねない。

 本心では断りたかったのだがドレイルの熱意は凄まじいものだった。その勢いに私が押し負けてイエスというとドレイルは満面の笑みでステップを踏みながら帰っていった。少しの時間だったが嵐のような出来事だった。ドレイルのあのエネルギーはどこからきているのか。

 とりあえずこの件はアズールの使節団が帰るまで先延ばしにすることになった。今は目の前の課題に集中したい。

 料理以外にも用意することがたくさんある。部屋で焚く香の匂いまで私が決めなければならなかった。最近は学校でうたた寝することが増えている。皇子である私に注意するものは誰もいないのが救いだ。今は学校の行事などどうでもいい。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み