帝国歴885年 6月26日

文字数 488文字

 今日は使節団の料理を確認するためシェフに会いに行った。そこにはなんとブロンティがいた。ブロンティも使節団の歓迎会を取り仕切るメンバーなのは知っていたが、料理担当だとは知らなかった。というか後から任命したのだろう。きっとおせっかい皇帝のせいだ。しきりに私とブロンティの仲を気にしていたからな。

 今までシェフとブロンティは料理室に籠り、夕食会に出す料理のレシピを考えていたというのだ。二人の後ろに見える道具や材料の数、洗い場の惨状を見ればその奮闘ぶりがわかった。そういえばブロンティとは学校で顔を合わせることも減っていた。いつもことあるごとに話しかけてくるのに変だと思っていた。

 野菜しか使っていないというのに美味しいフルコースが出来ていて驚いた。思わず美味しいと本音が漏れるとシェフとブロンティは抱き合って喜んでいた。私も思わず嬉しくなったが、このままではまずいのだ。美味しいけどまずい。

 味は文句のつけようもない。しかし、このままだと計画の成功率が下がる。二人の頑張りを見れば無下にはできない自分がいた。使節団の口には合わないことを祈る。二人にはこれ以上頑張らないでほしい。
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