第二回 Ring a Ring o’Roses

文字数 612文字

A ring a ring o’ roses
A pocket full o’ posies
Atishoo atishoo
We all fall down

ええ、その子なら知っています
一番の友達でしたから
あなたも街からきたのでしょう

あの子はいつも花を摘んで
館に住む母親に届けていました
初め友達がいなくて
森の中で一人、花を摘んでいたのです

私はあの子を見つけて
村の子供たちとも仲良くなりました
あの子は森のことは何も知りませんでしたが
街のことはよく知っていました

母親は街から来たのだと
領主様の別宅に住んでいるのだと
あの子に近付くんじゃないと
村の大人たちは言うけれど
子供に何の悪い訳が有りましょう

私たちは農作業の合間に
こっそりと会っては楽しく
森のなかで遊んでおりました
あの子は働くこともなく
けれどいつもお腹を空かせて
擦り切れたドレスを着て
歌と踊りの上手な子でした

その日は突然来たのです
大勢の大人たちが、森の一角、
領主様の別宅に集まっていました
みんな口を閉ざすけれど、
知っていますよ?
領主様とある女が
毒を呷ったというのでしょう

あの子はそれきり
森へ来なくなってしまった
私は約束通り、ずっとずっと
待っていたのに……

あの子に街で会ったのですか
戻ったら伝えて下さいね
辛いことなら森へ置いてくればいい
遠くで幸せにいてくれますように
あの白い薔薇は
私とあなただけの秘密
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