(四)‐2(終)

文字数 351文字

 紀子は異形の三人の方を振り向いた。そして腕を伸ばし、両方の手の平をくっつけて、三人の方に向けた。
 次の瞬間、工場内は真っ白になった。そして何かが破裂する音がした。すぐに工場内は光から開放されて、もとの色を取り戻した。工場のコンクリートの上に黒いススのようなものがついていたが、三人の姿はもうなかった。
 紀子はそれを確認すると再び光に包まれ、制服姿に戻った。
「この惑星は水分が多すぎて生命体ももろいわね。これで二五体目よ。こうも弱いんじゃ、自衛のための訓練なんてほとんど意味ないわね……」
 そう呟きながら、紀子は入り口の方へ歩いて行った。シャッター脇の入口の扉を開けた。
「まあ、今回はぶっつけ本番だったからなおさらか……」
 紀子は棒に体を貫かれたいずみの方をチラッと見やると、工場から出て行った。

(了)
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