(二)‐9

文字数 338文字

 いずみが紅茶を飲み込むのをのどの動きで確認し、椿は「実は聞きたいことがあるんだ」と言った。
「生徒会長って何者だ?」
 椿の口から続けて出てきた言葉に、いずみは戸惑った。何者かと言われても「生徒会長だ」としかいいようがない。あとは、三年生で、受験生。いや、進路は聞いていないので、進学なのか就職なのかはわからない。でも生徒会長は成績も優秀と聞いている。本人から直接ではなく、あくまでも噂ではあったが。だからたぶん進学するのだろう。でもそれ以上のことはよく知らなかった。どういう家族構成なのかとか、どういう生い立ちなのか。彼女の方から色々聞かれることは多かったが、いずみ自身、生徒会長の紀子に特に興味はなかったからだ。それなので、「何者だ」と聞かれても答えようがなかった。

(続く)
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