蟻
文字数 706文字
ヒッソリとコッソリと
ちゃっかりとさっぱりと有耶しよう無耶しよう
…~♪
何かを歌うように
機械の様な甲高い声の旋律
夢の欠片を集める通称≪掃除屋≫の蟻たちが
列を成して集まってきた。
飛び散った男の夢の欠片を
拾って集めて運んでいく。
その列を横目でみながら
「わりとあっさり終わったね?」
と
「蛟に気に入られる様な魂ではなかったって事?」
「気に入られたから、
と不思議な顔をした。
「水槽に持ち帰らなかったのは、いらなかったからだろ?」
先頭の蟻に渡した。
蟻は大きな欠片もそのまま運んで行った。
「そうなのかしら?
あっと言う間に周囲の掃除が終わった様子で
蟻たちはまた機械の様な旋律で声を出しながら
列を成して集めた欠片を運んで行った。
「あの男…気付くといいけど。
ご縁は何も“恋愛”だけではないってことに。」
「女の方もね?
「あら。女の方は、少し怖い思いをした方がいいんじゃない?」
「おや…女は女に厳しいね?」
何か怒っている口調の玄の機嫌を取る様に
大が玄の手を取った。
「
不満げな顔をしている玄だったが
大に社の方に手を引かれ歩き出した。
― 第一章 約束は絆と呪いで出来ている― 完