04 女神像に罪はない
文字数 1,158文字
あー、これキツいわ。バイト代、弾んでもらわないと割に合わないよ
バイトなの、これ？
まあ気を取り直して、『噴水』編の振り返りに戻ろうか。女神像の七不思議だね
ああ、よく考えれば、この話もそっか。……空良。あなたの先輩は色んな人にモテるのね。羨ましいでしょ？
え、まだそれ引きずるの？
……今の姉さんを踏まえると、それほど羨ましくもないんだけど。俺はそこそこでいいよ
でも中庭かあ、私と一緒にお弁当食べたベンチだよね、あそこ。あの風紀委員のなんとかさんは、そんな所で女神像と抱き合ってたのね。ふふ、ふふふ……
姉さん。俺もう、勝手に進めるからね。
そういえば、神宮院（じんぐういん）副会長もようやく俺の苦労を分かってくれたみたいでさ。風見先輩に振り回されるその心労を。この翌日に、えらく褒められたよ。
土岐司（ときつかさ）副会長は――ずっとどんより曇ってたなあ。佐々川先輩の天然パワー恐るべしだね
空良、巻きで終わらせようとしてない？
……姉さんのせいだろ。そろそろ機嫌治してよ
そうだね、大人げなかったわね。うん、もう大丈夫。怒りは発散するものではなく、溜め込むものだもんね
どっちにしろ最後は風見先輩で発散するんだろうね……。まあいいや。俺に実害が及ばなけりゃ、もう良しとしよう。
でもさ、この『なかがき』の根本的な問題として、風使いの能力について触れていいのか――ってことなんだけど
いいらしいわよ
そうなんだ。うん、絶好調だったよね、この回の先輩
爽介くんの思考回路ってどうなってるんだろうね。隠す気があるのかないのか……
急にマジモードに入るんだよなあ、あの人
それでも、ナチュラルにスカートめくってたけどね。まったくもう、爽介くんたら腕白（わんぱく）なんだから
そこは許すんだ。姉さんの基準が分からないよ。
姉さんも、あの『えり』さんのトコ行ったりするの？
ううん、近くを通ったときに眺めるくらいかな。私、あんまりアクセサリー類は持ってないから、着けてあげられるものなくって
メイクもしないもんね。そういえば、姉さんの女友達っておとなしい人が多いよね。おしとやかというか、落ち着いているというか
別に選んでるわけじゃないけど……まあ、あまりにも違うタイプの女の子とグループ作るって、なかなかないんじゃないかな。神宮院さんと佐々川さんのコンビは、そういう意味ではちょっと例外かな？
男の子はそのへん、結構ゆるやかだよね
それはあるかも。いつも絡むメンバーはいるけど、だからって他の奴らと付き合いがないかって言ったら、そんなことはないし
空良はサッカー部のお友達と遊ぶことが多いのよね。クラスの中心に居そうな、明るい子たち
うん。でも他の部活の奴とも絡むよ。ゲームの話をしたりもするし――
先輩とナンパに出かけたりも？
しません。なんで積極的にその話題を蒸し返すんだよ
