おまけ とある喫茶店の店長と客の会話
文字数 761文字
「ねえ店長さん、この『BEAUTIFUL DREAMER』って本なんだけど、読んでも良いかしら?」
『ええ、勿論ですとも。と言っても何分古い本故、あまり状態はよろしくありませんが。』
「大丈夫だって。ていうかこれ、時野 雫 先生の本なんだ。私、この人のファンなの。」
『はは、左様ですか。実は私もこの方の本に出会ってから読書家になりましてね。ちなみに彼女はこの頃いわゆるスランプに陥っていたそうですが、この本を書いたことがスランプ打開のきっかけになったんだとか。』
「へえ、詳しいのね。ところでどんな内容なの?」
『分不相応の実力でミュージシャンを夢見て、そして散っていったしがない夢想家の物語ですよ。なんでも時野先生の知人の話なんだとか。世の中馬鹿な男がいたものですな。』
「随分辛辣な物言いね。」
『事実ですので。』
「でも私は好きよ。そういう男の人。」
『はは、きっと「彼」も喜ぶでしょうな。』
「ところで店長さんは何か夢とかなかったの?」
『そうですな、若い頃はミュージシャンを目指しておりました。まあ才能がなく辞めてしまいましたがね。それこそ、「彼」のようにね。』
「へえ、意外ね。ちなみに今の夢とかってある?」
『そうですな。ある女性に最高の珈琲をご馳走すること、ですかね。』
「それは私に?」
『勿論あなたを含めお客様全員にお飲みいただきたいのですが、以前付き合いがあった女性に珈琲を振る舞ったところ、「美味しいけど師匠のものほどではない」と言われましてね。今度こそ私の師匠が淹れた珈琲より美味しいと言わせたいのです。』
「へえ、会えると良いわね。」
『まあ、会っても向こうは私に気付かないと思いますがね。』
「何で?こっちから名乗れば良いじゃない。」
『いえ、それではまずいのです。』
「どういう事?」
『ま、色々あるのです。』
「ふーん、変なの。」
『ええ、勿論ですとも。と言っても何分古い本故、あまり状態はよろしくありませんが。』
「大丈夫だって。ていうかこれ、時野 雫 先生の本なんだ。私、この人のファンなの。」
『はは、左様ですか。実は私もこの方の本に出会ってから読書家になりましてね。ちなみに彼女はこの頃いわゆるスランプに陥っていたそうですが、この本を書いたことがスランプ打開のきっかけになったんだとか。』
「へえ、詳しいのね。ところでどんな内容なの?」
『分不相応の実力でミュージシャンを夢見て、そして散っていったしがない夢想家の物語ですよ。なんでも時野先生の知人の話なんだとか。世の中馬鹿な男がいたものですな。』
「随分辛辣な物言いね。」
『事実ですので。』
「でも私は好きよ。そういう男の人。」
『はは、きっと「彼」も喜ぶでしょうな。』
「ところで店長さんは何か夢とかなかったの?」
『そうですな、若い頃はミュージシャンを目指しておりました。まあ才能がなく辞めてしまいましたがね。それこそ、「彼」のようにね。』
「へえ、意外ね。ちなみに今の夢とかってある?」
『そうですな。ある女性に最高の珈琲をご馳走すること、ですかね。』
「それは私に?」
『勿論あなたを含めお客様全員にお飲みいただきたいのですが、以前付き合いがあった女性に珈琲を振る舞ったところ、「美味しいけど師匠のものほどではない」と言われましてね。今度こそ私の師匠が淹れた珈琲より美味しいと言わせたいのです。』
「へえ、会えると良いわね。」
『まあ、会っても向こうは私に気付かないと思いますがね。』
「何で?こっちから名乗れば良いじゃない。」
『いえ、それではまずいのです。』
「どういう事?」
『ま、色々あるのです。』
「ふーん、変なの。」